Unlimited time


□act:6 幻の歌
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村の入口には立て札。

《ようこそ
エリン族の村へ》

エリン族の村は、木に囲まれている小さな村で、遺跡があるらしい。
ドルマ街道からの霧が少し流れてきてるのか、暗い。今が夕方というのもあるのかもしれない。


「急ごう」

まず薬屋に向かう。
これから何があるかわからないので回復薬意外に毒消しや石解薬も買う。


「睡眠状態を治す薬とか無いんでしょうか?」
「睡眠は薬では直せないよ。攻撃されなきゃ起きないんだ」

他に混乱は白魔法の、状態異常を治す『リフレッシュ』でしか治らない。


「次は武器屋だな」

武器屋へ向かうと、エリン族の女性が『いらっしゃいませ』とお辞儀をした。
エリン族は礼儀正しい種族と言われている。


「エメラルド、それ木製でしょ。鉄製あるよ」
「うーん…じゃあ買い替えようかな」

エメラルドはアリアの持っていた鉄製弓矢を受け取る。

「クレッドさんは買い替えないのか?」
「ええ、今の愛用してるんで」


カノンがふーんと言うと、クレッドがカノンを見てクスリと笑う。

「貴方こそ、そのバイオリンずっと使っているでしょう。傷がいくつかついてますね」
「ああ…これは」


アズサは売られていたベースの魔楽器を一瞥する。

「本当はあれがいいんです。でもリズム隊はサポート側です。それに……」
「?」
「キーボードやバイオリンが一番演奏士に使われています。鎮魂歌に一番適している楽器ですから」


演奏士が一番頻繁に使う力は『鎮魂曲』。
それは歌魔導士も同じだが。

だから鎮魂曲を演奏する為にバイオリンやキーボードが一番使われていると言っても過言じゃない。


皮肉だな。


自分は悪くないのに、残る罪悪感。
人々は泣き、哀しみ、『ありがとう』と言いながらまた泣く。

いい事をしている?
そんな言葉は嘘みたいで。

だけどこれが仕事。
やらなくちゃならないこと。


「……あたしが代わるよ」





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