Unlimited time
□act:5 切れない繋がり
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…――恨みや憎しみ、また生きている人間を羨む気持ちは、憎悪になる。そして自我を失い魔物になり、傷付ける
グロウは、クレッドがヴィンチで言っていた事を思い出す。
「(もしソラがもう死んでいたら?処罰が死刑だったら?……魔物化していたら?)」
クレッドがソラに会ったのが、ソラが犯人として連れ去られる前だったとは限らない。
「クレッド……」
「なんですか?」
「クレッドがソラに会ったのは、いつだった?」
クレッドはそれを聞いて、グロウが何を不安に思っているかを察した。
だけどちゃんと答えはしない。
彼女はそれを望んではいないだろうから。
「さあ?わかりません」
ソラの為についた嘘。
act:5
切れない繋がり
エメラルドはあの時受け取ったマップを見ていた。
そしてそれを裏返す。書かれているのはマップには変わりないのだが、ディナとは違う。
…――ルナは、最後の逃げ道、だ…。君の居場所が、無くなった時の――――
「あの人、ルナに行ったんだ……」
エメラルドは小さく呟いた。
「エメちゃん、これ、ルナの?」
突然アリアが話しかけてきた。
考え事をしていたエメラルドは突然話し掛けられてビクッとする。それが可笑しくて、というか驚かせようとやったことなので、アリアは嬉しそうに笑った。
「ルナの地図なんて、なんであるんだろうね。これ手書きだよ?」
「ルナに行ったんだよ、たぶん」
「……ルナってそもそもなんだっけ?」
この子はたまに天然だ。多分本来が天然なんだと思う。
「今あたし達がいるこの世界をディナって言うの。それともうひとつ世界があって、それがルナ」
「うん、それはわかる」
「ルナは邪悪な精霊を生み出す場所。人間を精霊にしたりもして、命の無いものも自我を与えるのことができるの」
「そんな難しかったっけ?」
命の無いもの、とは死んだものではなくて、人形や玩具などの元々自我の無いものだろう。
精霊は、精霊士が契約する
「ルナの精霊と契約したら寿命が縮むらしいですよ?」
今度はクレッドが後ろに立っていた。
「そうなんですか?」
「はい。ルナの精霊は魔力が強いですから、契約すれば大きな力を手に入れる事は確実です。でもその『代償』に寿命が削られるんですね」
「…クレッド、詳しいんだね」
「君もね」
エメラルドが怪しむように見れば、クレッドは自慢げに言った。
「ルナって行く道とか公開されてたりしないよね?危険だし。行った人も聞いたこと無いから今じゃ御伽噺みたいに言われてる。なのにあの人は行ったんでしょ?どうしてかなぁ」
「………さあ…」
笑うエメラルドは何かを隠してるみたいだった。
「それよりも、カノン君が貴方に訊きたい事があるみたいです」
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