01/12の日記

22:39

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鎖をつけた
あの日、大切なあの人に
それは命を延ばすため
それはあの人ともう一度、歩けるようにと願いをこめて



夢があった
赤い絨毯を一緒に歩く
いつか二人三脚していく人の所まで
温かい腕を離すのは寂しいけど
“ありがとう”を伝えて強く握り返す



久しぶりに帰れば“おかえり”と
納豆と卵だけのおかずが出る
豪華じゃないけどおいしくて
それが帰ってきたと実感させる



「ハゲ、タコ、マヌケ」
罵声をあびせたって笑ってる
そこにあの人の姿があって
それが当たり前だった



ある夜に鳴り響く携帯
夢か現か分からないけど
ただ走るしかなくて
ただ一分一秒でも速く、駆けつけるしかなかった



鎖をつけた
あの日、大切なあの人に
それは命を延ばすため
それはあの人ともう一度、歩けるようにと願いを込めて



たくさんの鎖に繋がれ苦しがる
「はずせ」とのその声も聞かず
もう1つ鎖を付け足した
その姿を見るのが辛いと、何度もその場を後にする人
それが普通だと思う
けれど私は自分で、自分の手で
大切なあの人に鎖をつけた



あの人は灰になった
真っ白でキレイな灰になった
それを最後まで見届けるために化けた
一瞬も見落とさぬよう、目に焼き付けて
それが義務だと
心臓に釘を刺す



鎖をつけた
あの日、大切なあの人に
それは命を延ばすため
それはあの人ともう一度、歩けるようにと願いを込めて
けれど叶わなかった
だから焼き付けたんだ
“ありがとう”も“ごめん”もあげずに
あの人は灰になった
自分の手で鎖をつけたあの人の顔を
一生忘れず今日も歩いてく

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