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「それにしても、やけに活気のある町だな」
シャチさんの言葉に私もペンギンさんもベポも皆頷いた
周りを見渡せば、確かに民衆達は浮足だった様子で笑い合っていた
「お祭りでもあるのかなあ・・・」
「少し、聞いて見よっか」
すみません、と果物を売っているおじさんに声をかけると、元気よくいらっしゃい!と返された
「何にするかい!」
「あ、いや・・・。えっとじゃありんご1つ」
別に買うつもりなんてさらさらなかったが、おじさんの笑顔を見てたら買わずには居られなかった
いやいや、本当に真っ直ぐな人に弱いんだって私・・・
「おっ、よくみたらお嬢ちゃん別嬪さんだね!ここら辺じゃ見かけないけど旅人か何かかい?」
旅人・・・、ではないよね
「いや、旅人じゃなくて・・・」
ちらとすぐ後ろにいるベポたちの方を見る
「し、白熊!?こいつぁ珍しいもんを見た!!あ、もしかして嬢ちゃん達も新しい王様を祝う為に呼ばれた芸人かい?」
・・・新しい王様?
「え、違「そうだ。だが、こちらとしてもいきなり呼ばれて困っていたところだ。よかったらその話、もう少し聞かせてもらえないだろうか?」っ、ペンギンさん!?」
割って入るなりさらりと嘘をついたペンギンさんに動揺したが、おじさんに見えないように、静かにな?と人差し指を自身の唇に付けるペンギンさんのつぶやきにこくりと頷き平静を装った
「なんだ、あんたたちそんなことも知らずにやってきたのか!」
しっかたねェ、おれが教えてやるよと生き生きと語るおじさん
「明日第二王子のジーニャ様が王の試練の為に一人で山賊退治に行くんだ。
で、その後に開かれる宴を盛大に盛り上げるためにあんたら芸人さんは呼ばれたってわけさ!」
山賊退治を一人で・・・?
「その、ジーニャ王子だっけ?ジーニャ王子は幾つになるの?」
「今年で12歳!」
「12歳!?12歳の男の子が一人で山賊退治に行くの・・・!?」
12歳が山賊退治なんて危ないこと、・・・って私はひとのこと言えないか
「そうさ!!ジーニャ様はすげェんだ!頭は良いし、強いし、おれみたいなただの市民にも挨拶してくれるんだ。おまけに顔も良し!」
誇らしげに語るおじさん、
なるほどジーニャ王子はそんなにも慕われてるのか
「ところでなんで、第二王子なんだ?次期王位継承は第一王子が普通だろ」
あ、それ私も思った
ペンギンさんの言葉にさっきとは打って変わって困ったように指で頬をかくおじさん
「あー・・・。それがな、第一王子のラウル様は我が儘で臆病な方でな・・・、剣の腕はジーニャ様よりも上らしいんだが、何分とても臆病者だから今回の王位継承を辞退したらしい。困り果ててた時にジーニャ様が山賊退治を買って出たらしい。流石ジーニャ様だよな!」
臆病者の兄と、勇気ある弟か・・・
「さ、あんたたちもさっさと芸の準備をした方がいいぜ。なんてったって、明日の夜は次期王様が山賊倒して帰ってくるんだ!!」
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