アルビノガール

□19時間目
3ページ/3ページ


「・・・。トラファルガー・・・、ありがとう・・・。でも、ごめん」



それでもやっぱり私はトラファルガーに釣り合わないよ、と苦笑いをするアリア



釣り合わねェ?



「わけがわからねェ・・・。そんなに大切か、周りの目が。・・・自分の気持ちよりも、大切なのか?」



「・・・大切、だよ。」



目を逸らし、苦々しく言い放つアリア



一体何がこいつにここまで言わせるのか・・・


こいつの過去に、何かあったのか・・・



だが、聞いて欲しくないとアリアの不安な目が訴えていて・・・



「そうかよ・・・」



おれはそれだけしか言えなかった



アリアを押さえていた手を外し立ち上がれば、ゆっくりとアリアも立ち上がった



「・・・一つ、聞いていいか?」



アリアに背を向けたまま、口を開いた



「なに・・・?」



一拍置いた後、聞こえた不安定な声にズキリと胸が痛んだ



「お前は・・・、お前はおれを愛してくれていたか」



「っ!!」



おれの質問に言葉をつまらせるアリア



「・・・言ったはず、でしょ」


小さな声と共に、何をするわけでもなく着ていたセーターが少し引っ張られていた



「あなたが、好き・・・。昔も今も、ローもトラファルガーも・・・、全部引っくるめて、愛してる」



とすりと背中に乗るアリアの頭の重み・・・



それが何より心地好い・・・



「アリア・・・、・・・ありがとう」



顔も見ないまま、そうつぶやけば、背中越しに感じる熱は暖かさを増した気がした



だから・・・、



「・・・アリア、」



「今度は、なに・・・?」



アリアに向き合って、その小さな身体を抱きしめた



「今日はおれの部屋で寝ろ。ここ、セキュリティ的に問題だろ。ああ、言っておくが反対意見は認めねェ、お前のじいさんに言い付けるからな」



「はぁ・・・!?っ、横暴!」



だから、今はこれでいい・・・



「ユースタス屋の家なんて危ねェからな」



「あなたの方が、よっぽど危ない・・・!!」



このよくわからない、つかず離れずの心地好い関係に甘えてしまいたい・・・



「安心しろ、手は出さねェ」



「かつてないほど、信用ならない・・・・・・」



「お前からねだるまで待っててやる。安心しろ、忍耐力は中々ある。お前のおかげでな」



ククッと笑えば、アリアは不快そうに唇を尖らせた



・・・愛らしいな、おい



「私から、ねだるわけない・・・」



「なら、決定だ。さ、こちらへどうぞ姫君?」



アリアの部屋の玄関を手でさして、執事のように優雅にお辞儀をする



「・・・〜っ!!・・・。・・・はぁ、仕方ない・・・」



一日だけ、お世話になります。そう呟いたアリアはおれの横を通り過ぎて、銀の髪を揺らしながらおれの部屋へと足を進めていた



その様子を見て、また笑った



態度は淡々としてるくせに顔は林檎みてェに赤い・・・



本当、可愛らしいな



呟いた声は爛々と輝く窓ガラスだけが聞いていた



その一つをぺきんと踏んで、アリアに続いた




.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ