アルビノガール

□8時間目
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「・・・昼休みからずっと、寝てたの?」



女達が去り、トラファルガーと私だけが屋上にとり残された



隣のトラファルガーを見ればトレードマークの帽子で寝癖を隠しているところだった




「午後の授業はガイダンスだろ。つまんねぇからここで寝てた方がマシだ」



「・・・ガイダンスも授業。うけないと、単位貰えないよ」



「一回サボっただけでんなことになんねぇよ、・・・っと、冷てぇな・・・」



ぽつりとトラファルガーの顔に雨粒が当たったのだろう



・・・はあ、困った



「・・・雨、降ってきちゃったか」



傘持ってきてないのに・・・


仕方ない、ダッシュで帰ろう



はあ、と一つ溜息をつけばトラファルガーが不思議そうに私を見つめた




「どうした?おれの目の前で辛気臭ェ溜息なんてついてんじゃねぇよ」



「別に・・・。ただ、傘を忘れただけ」



学校から近いマンションとは言えダッシュしたとしても20分はかかる




「ふーん・・・。ならこれやるよ」



ぽいと投げ渡されたのは黒い折りたたみ傘



「これ、あなたの・・・?」



「おれのじゃなきゃ持ってるはずねぇだろ。じゃあな・・・」



踵を帰し屋上を去ろうとするトラファルガー



「っ!!待って・・・。これがあなたの傘なら、あなたはどうするの」



私のせいで彼が濡れて帰るはめになるのはあまりにも良心が痛む



「・・・お前と違っておれは用意周到なんだ。お前にやったそれは置き傘。もう一本今日持ってきたやつがあるからおれはそれで帰る」



そして扉に手をかけるトラファルガー



!!



「待って・・・!!」



「・・・なんだ、まだ話すことがあるのか」



トラファルガーは溜息まじりに面倒臭そうに振り向いた



「その・・・、ありがと。さっきの女子達のことと、この傘・・・」



本人を目の前にして礼を言うのは少し恥ずかしいから目線を反らしながらそう言えば、くくっと言う笑い声




「どーいたしまして」




トラファルガーはぽんぽんと2回頭を撫でると、踵を返しこちらを振り向かずに手を振り去って行ってしまった




彼の香水の残り香にとくんとくんと心臓が主張する






帰らなきゃ・・・



黒い傘を握りしめ私も足早に屋上を去った





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