アルビノガール
□2時間目
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「お前らどーせ暇だろ。晩飯食ってこうぜ」
ゲームセンターでひとしきり3人で遊んだ後、思い出したようにキッドが提案した
「おれは構わない」
キラーはこくりと頷き誘いに乗った
「ごめん。今日は、無理。なんか・・・、おじいちゃんに呼ばれてる」
よく分からないけど夜までに帰っておいでとメールが入っていた
私の両親は8歳の時、交通事故で両方とも死んだ
それからというもの、母方の祖父に私はお世話になっている
これで祖父が意地悪で仕方ないと言う家庭なら私はヒロイズムに浸れるのだが、生憎おじいちゃんはめちゃくちゃ私に甘いからそんなものとは全く縁がない
「ってことは家に帰んのか。一人暮らし始めて早々実家にもどるなんてお前も大変だな」
「距離は、マンションよりも近い、から・・・」
楽だよ、と笑えばキッドは溜息をついた
「そういう意味じゃなくて精神的にだよ。お前せっかく一人暮らし始めたのに呼び出されたら家に帰りたくなるんじゃねえか」
・・・。
「キッド、心配しすぎ。自分で決めたことは、やるよ。それが、私のモットー、だからね」
でも・・・
「おじいちゃんと離れて、暮らすのが、淋しくないわけじゃ、ない・・・」
ぎゅと制服の胸の部分を握り閉める
と、不意に私の両手を包み込む温もりに顔を上げた
握り閉めていた手はキッドに、あいていた手はキラーにそれぞれ握られていた
きょとんとしているとキッドとキラーは笑った
「淋しいなら呼べよ。すぐに飛んでいってやるから」
「ああ。お前一人で溜め込むな。悪い癖だ。おれ達にくらい弱さをもっと見せろ」
・・・っ!!
「二人とも、ずるい・・・。なんか、かっこいいし」
「なんだ今頃気づいたのかよ」
けらけら笑うキッドを冷めた目でじとりと見れば、冗談だからなっと焦る
「キッド、キラー・・・」
こんな私のそばにいてくれて・・・
こんな私を守ってくれて・・・
「ありがと・・・」
何にも出来ないからせめてにこりと心からの笑みを送る
「っ、礼なんざいらねえよ」
「おれ達は仲間だろうアリア?」
照れて頬を欠くキッドと繋いでる手とは逆の手で頭を優しく撫でてくるキラー
それがなんかくすぐったくてまた笑った
「そうだね、仲間だ・・・」
ひとしきり笑うと繋いでいた手を離し、別れをつげ家へと向かった
私は気づかなかった
「坊ちゃん、もうよろしいのですか?」
「くくっ、ああ構わない・・・」
車の窓からこちらを見てる人がいたなんて全く気づかなかったのだ
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