番外編

□体育会系彼女の憂鬱
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「はあ・・・」



学校帰りに二人で歩いていると、不意に隣から聞こえた溜息



それはまさしく自分の愛しい彼女のもので・・・



「どうした、溜息なんてついて」



「一週間後の期末テストで赤点とったら補習なんだって・・・。そしたら冬休みに行かなきゃいけないんだって・・・」



そういえば今朝、赤髪屋がそんなことを言っていたか・・・



しょぼくれている彼女を見て、リオの成績を思いだす・・・



確か、成績表は焼け野原のようだったな・・・



一面に広がる真っ赤な1と2の羅列



本人はそれでも頑張っているつもりだからどうしようもない



ちなみに音楽を抜かしておれの成績に9と10以外の文字はない。


音楽は実技のせいで、6。それでも、リオの主要教科3科目の合計と同じくらいだ




「リオ、今日から一週間、おれが勉強見てやるからそんなに落ち込むな」



ぽんぽんと頭を撫でてやれば、勢いよく頭を上げたリオ



「ほんと!?・・・わーい、ローが見てくれるならきっといい点とれるね!!」



屈託のない天使のような笑顔



ヤバい、我が彼女ながらこいつ本当にかわいい・・・


「あ、ああ・・・」



今日から一週間、おれは手を出さないでいられるだろうか・・・



「じゃあ一週間あたしの家に泊まってって。勉強教えてもらう代わりに、ご飯作ってあげるよ!」



っ!!



泊、まりだと・・・



いや、それより・・・



「め、メシはおれが作る」



リオは不器用の中の不器用、キングオブ不器用だ



そして彼女が料理を作ろうものなら、たちまち童話に出てくる魔女の料理みたいなものに変わる


はじめてリオが料理を作ってくれた時、緑色のスープ(?)が、ぶよりぶよりと蠢いていたのをおれは忘れない


そしてなんにもないと言うような顔でリオが食っていたのも忘れない、いや、忘れられない


言うなれば、味覚オンチなのだ彼女は



そんな彼女の手料理を一週間食おうものなら確実におれはおれじゃあなくなる、大切な何かをきっと失うだろう



というか、そんな刺激物を毎日食って平然としているコイツの胃を解剖してみたい


世紀の発見が見つかりそうだ、なんて馬鹿なことを考えてみる



リオを傷つけるなんてできねえのに・・・、





「えー、でも教えて貰うのにさらに料理作らせるなんて・・・」



不満そうなリオ



「魚を捌(さば)きてえんだよ。外科医志望だから」



我ながら意味の分からない理由だ



いくらコイツがバカでもこんな話引っ掛かるわけが「・・・。なんだあ!!さすが将来の外科医さん!うん、そういうことならいくらでも捌いて。私、一週間刺身でもいいから」



あったな。


そうだ、コイツはめちゃくちゃ純粋だった・・・



将来、悪徳商法に引っ掛かるんじゃないかと心配するくらい



・・・いや、もし仮に騙されて金をとられたとしてもコイツの仮親が3倍くらいを騙した奴からむしり取るだろう


なんたってこいつの仮親はマフィアのボスなんだから・・・




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