Jewel Honey

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「何考えているんだ」




急に黙り込んだ私を不審に思ったのか、私の肩を引っ張り対面するような形で抱き寄せられた



「あ、なんでも・・・。」



なんだか恥ずかしくて目を逸らせば、ちっと言う舌打ちの音が耳に入った




「そうかよ・・・」



不意に腕を離し、私を解放するトラファルガーさん




「"あの人"とやらじゃなきゃ目も合わせたくないのかよ、お前は」



「っ、ちが・・・!!」




反論しようとトラファルガーさんを見れば鋭い眼光で睨まれる



今までそんな目で彼に見られたことがなくて、どうしていいかわかんなくて目を逸らした




「ちっ、・・・今日の昼頃に次の島につく。ログが溜まるのは一週間後、その間は何をするが勝手だ」




「へ・・・」



顔をあげた時にはトラファルガーさんは部屋のドアの近くにいた




「おれは適当に女を抱いてくる、お前も好きにしてろ」




「待っ・・・」




「もう金輪際おれに近づくな。・・・お前の部屋は今日から医務室だ、じゃあな」



ぱたんと静かな音をたてて閉まるドア




「っ、・・・なんで?」



彼の匂いがまだ残るタオルケットに顔を埋める




「私、何かしたの・・・」




トラファルガーさんが気に入らないことした・・・?



「ふっ、うぅ・・・」



一筋の涙が頬を伝い胸を濡らした




『"あの人"とやらじゃなきゃ目も合わせたくねえのか、お前』




彼の言葉が脳の中で反響しては離れない




違う、違うよトラファルガーさん




目を合わせなかったのは嫌だったわけじゃない




ただ、




「恥ずかしかった、だけ・・・」




さっきまで私を抱きしめていたその手で女の人を抱くの?



さっきまで私と話してたその口で愛を囁くの?




なんだかそれって・・・




「いや、だな・・・」




胸が締め付けられるように痛み、涙がぽろぽろとこぼれ落ちた




そんなの初めての感覚でどうしていいか分からなくて私はただ涙を止める術や胸の痛みをとる術さえ知らなかった






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