Jewel Honey

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船へ帰ると私は甲板で月を見ながらぼーっとしていた




時折、トラファルガーさんに言われた言葉を思い出しては赤面し、それを消すように首をぶんぶんと横に振った



それを紛らわす様にためしに瞳を閉じてみるとやはり広がる赤の世界と母が最後に見せた笑顔・・・そして鎖に繋がれた私、その先を見たくなくて急いで目を開けた




実を言うと私にはまだトラファルガーさんに話してない闇があった



それが原因で海軍は私を血眼になって捕まえようとして5億という懸賞金をつけ、"alive only"つまり生け捕り以外認めないような手配書を作った



私は海軍の闇、そのものだった




でもそんな闇からあの人は笑って私を救い上げてくれた




だから私はあの人に絶対の信用を寄せた



逆を言えば、あの人以外に信用を置く人物など後に出会うことになる仲間以外にいなかった



それ故に私はあの人に見捨てられないように強くなろうとした



便利な道具としてでもいいから傍にいさせて欲しかった



だからあの人の命令という名の殺戮はすべてこなした



そんなこと繰り返していたら、いつの間にか私はその海賊団での2番の位置に立っていた



そのことにあの人はとても喜び笑って私の頭を撫でていた



眠れない夜も不思議とあの人に抱きしめて寝てもらうと何も嫌なものを見なくてすんだ




「私はあの人を愛していたんだよね・・・?」




人それぞれ愛のカタチは違う、私にとっての愛というやつはあの人に飼い馴らされることだったんだと思う




『おれはお前が好きだ』




トラファルガーさんに言われた言葉が頭の中で呼応しては、離れない




トラファルガーさんにとっての愛ってなんだろう



私の愛とは間違いなく違うだろう、彼は束縛を嫌いそうだし



・・・なんかこんなこと言うと私が束縛好きみたいに聞こえるが断じて違う




「あー、もう!!難しいし無理!!」




ばたんと大の字になって寝そべる




「恋とか愛とか、よくわかんないよ・・・」




明けゆく空に私の呟きは消え、ふぁと小さな欠伸を漏らした




そのまま私は眠気に任せて目を閉じた





・・・私は知らなかった、その後眠った私をベッドまでトラファルガーさんが運んでいたなんて





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