Jewel Honey

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「これが私の犯した罪。事情がどうであれ、母を死なせる結果にした私は母を殺したも同然だよ」




トラファルガーさんは何も言わずにただ聞いていてくれた



リオと自身の名を呼ばれ、トラファルガーさんと向き合うと力強く抱きしめられた



っ!?




「キツかったろ。・・・でも、生きてくれ。生きることがお前が歩むべき道だ」


!!



「・・・はじめて。この話をしてそんなこと言われたの。みんな同情するかお前は悪くないって私を慰めるの」



そうしてその優しさがまた私を苦しめた



いっそテメエが悪いと言ってもらったほうが楽だ




重力に従っていた腕を持ち上げトラファルガーさんの背中に回す



「本当に不思議な人・・・、会ってまもない人に普通抱きしめられたら私嫌なはずなのに、あなたに抱きしめられると落ち着く・・・」




どうしてなんだろう



こんなこと初めてで正直私もどうしたらいいかわからない




「・・・リオ、お前は今でもまだお前をフった奴のことを愛しているのか?」




・・・。



今でも、か・・・




「何年も前だから吹っ切れた。


・・・なんて言えれば格好いいんだけど、あいにく自分でもよくわからないんだ。
半ば義務的に好きって気持ち押し止めてきたから・・・。その人を見てたりすると今でもまだ少し、」




"胸が痛む・・・"



困ったように笑った




トラファルガーさんはなぜか悲しそうな目をしていた




「なんでそんな顔するの。いらないよ、同情なんて重いもの」




「同情なんかじゃねえ。ただお前が苦しそうに、それなのに笑うから・・・」




ああ、なるほど・・・




「笑顔は私の専売特許だもん。・・・笑ってれば、いつか痛みは去るって言われたの」




大好きだった人に



そう言わなくとも勘の鋭い彼のことだ、きっとわかっただろう




「おれじゃ役不足か・・・?」



??




「いきなりどうしたの、トラファルガーさん」




「お前の男には役不足か?」



真剣な瞳で言われたらもうなんて言ったら良いのかわからない




「おれはお前が好きだ」



獣のようにその目は鈍い光を放っていた




と言うより、好き?



誰を?私を・・・?



トラファルガーさんが?



「えええええっっ!!!???うそでしょっ」



「何を驚く。おれは本気だ」





「っ、気持ちは凄く嬉しいけど、私はあなたのことをよくわからない。

だから好きなんて言えないし、あなたの気持ちに答えられない・・・。

このまま流されたらきっとお互い辛い思いをして終わるだけだし」




ごめんなさいと再度謝ればフンと鼻を鳴らされた




「トラファルガーさん・・・?」




「あいにくおれは諦めがいい方じゃなくてな。悪いがこの気持ちは消すつもりはない」




!!



月明かりに照らされた私たちの影が一つになった



ゆっくりとトラファルガーさんの唇が私のソレと離れた




ニイといつものように笑うトラファルガーさん




「まずは宣戦布告ってことで」




低く囁かれ、ぞくりと身体がそばだつ




「必ず振り向かせるから、覚悟しとけ」




トラファルガーさんはそう言って立ち上がり、ひらひらと手を振ってまっすぐ船の方へ歩きだしてしまった




一方、私は強烈な告白を受けまだ今だにほてる頬に手を当てながら、ドキドキとうっさい心臓をとめる方法をひたすら考えていた




「・・・なんなの、ほんとに。」




ぽつりとつぶやいた言葉は闇に消えた





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