Jewel Honey

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すたすたとリオに近づくとリオは驚いたようにおれを見た



よくみりゃガキ共もおれをガン見してる




「あれ、さっきの女の人は?」



見てたのか、こいつ・・・




「フった。好みじゃないしな」



ニイと笑えば、訳わかんないと首を傾げるリオ



ああクソっ、かわいいな・・・




「なんだ私はてっきりあの人と・・・」




そこまで言うとリオは口をつぐんだ



ガキ達がいるせいか余りはっきりと言えないんだろう




「そういう気分じゃなくなってな。・・・今から戻るのも面倒くせえ、」




だからと続ける




「仕方ないからガキ達、おれも遊んでやる」




ガキ達にニイと笑えば、ぽかんとしていた口からしだいに笑みがこぼれ、わらわらとおれを取り囲む



リオはまだぽかんとしてたがやがてガキ達と同じようにくすりと笑った



その瞬間また心臓が跳ねる



本当に綺麗にこいつ笑うな・・・




「ロー兄ちゃん抱っこー!!」



おれに手を伸ばし懇願する子供



抱き上げてやると子供は満足そうにはしゃいだ




「すっげえ!!リオ姉ちゃんより高い!!」




興奮する子供



まあたまにはこう言うのも悪くない




「当たり前だろ?おれはリオより背が高い」




「ずるいずるい!!あたしもーっ」




と、次の子供がまた来たので乗っていた子供を下ろし、その子をもちあげた



きゃっきゃっとはしゃぐ子供




「おい、あんまりはしゃぐと落ちるぞ・・・」




「ローお兄ちゃんって王子様みたいに格好いいね」



にこりと笑う腕の中の子供



それに賛同する他の子供達、さらにリオまでもがそうだねと笑う




「ミモザたちのね、お姫様はリオお姉ちゃんなんだ!!優しくて可愛くてお姫様みたいでしょ」




その瞬間、少しだがリオが悲しむようなそぶりを見せたのをおれは見逃さなかった




本当にこいつの過去には何があるのだろう・・・




「私は、お姫様なんて柄じゃないよ。ミモザのがかわいい」



リオはおれの腕の中にいるミモザとかいう子供にくすりと笑いかけた




「さあ、そろそろみんなおやすみの時間だよ。教会に戻ろう」




リオがパンパンと手を二回叩いた




子供達はえーっと不満そうな声をあげたが、渋々その言葉に従った




「じゃあリオ姉ちゃん、いつもみたいに子守唄歌ってよ。よく眠れるおまじないして?」




子供達がリオの服の裾を掴みねだる




リオはちらっとおれの方を向き少し恥ずかしがった




「あー、トラファルガーさん。聞くに堪えなかったら言って下さい」




そう言って、リオは口を開いた






かぜとうたい とりとわらい みずとおどる わがかわいいこ



ねがうはきみのしあわせ



やさしいまなこはははに そのつよきこころはちちより うけついだわがこ



ほのおはみちびき きとねむり つきはおひさまとともにしょうじょとあそぶ



ねがうはきみのしあわせ



きみはこれからもいきていく いろいろなものをしょっていきていく



しにたいなんて おもわないで つよくいきて



ははのいしはきみのあたまに ちちのことばはきみのからだに ひびきわたる


どうかかみさま このこにしゅくふくを



やさしいやさしい このこにしゅくふくを



みぎてにあいを



ひだりてにちからを







リオは歌い終わると恥ずかしそうにぽりぽりと頬をかいた



にしてもさっきの歌、・・・目茶苦茶綺麗な声だった




「リオお姉ちゃんまた来てねーっ!!」



歌ってもらって満足したのか手をふりすたすたと修道女のそばに駆け寄る子供達だったが、何を思ったのかおれのところにミモザがやってきて手を招いた



仕方なくすわってやると耳打ちされた




その言葉に目を見開くと




ミモザは笑って子供達の中に帰っていった





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