Jewel Honey

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酒場に着くと先に来ていた船員たちに挨拶され迎えられた



その内の一人、シャチがおれの隣を見ては?マークを頭に浮かべた




「リオは一緒じゃないんすか、キャプテン」




「ああ。あいつなら近くの教会にいるらしい。あいつ曰く『お酒は昨日飲みすぎて飽きたし、なにより私がいたらほら・・・、その楽しめないでしょ。皆、男の人だし綺麗な女の人を抱きたいっしょ?』だ、そうだ・・・」




あどけない顔してそんなこと言った時は本当にびびった



あいつ、意外にそういうことを知ってんだな・・・




驚愕と同時にイラ立ちも増した



あいつはおれのことをどうも思ってはいないという事実を突き付けられたからだ



まあ思われたところで別にどうしようとも思わない、・・・多分




ペンギンの隣に座り一番高い酒を飲むと、必然的にくっついてくる女



宝石やドレスで着飾り、顔も悪くない女だったがどうにも今日は触手を伸ばす気になれなかった



自分をレイラと名乗るその女は色々と聞いてきた



おれは適当に相槌を打っていると女は何を勘違いしだしたのか、宿屋へとおれを誘った




断る義理はなかったのでその誘いに何となくのった



笑顔になる女を見て、一瞬リオの笑顔が思い出されてまたイラだった






女と共に酒場を出てしばらく歩くと、楽しそうな子供の笑い声が聞こえてきた



声の方を見ると、五時の方向にガキたちと月明かりに照らされたリオが愉快そうに笑っていた




「うるさいわねえ。ムードが台なしよ!!」




それを見ると隣で腹を立てる女がひどく醜く見えてきた




対照に妖精のように月明かりの下で戯れるリオは冒してはならない神聖なモノのように見えた




そしてリオの笑う顔を見る度に胸が弾み、思わず自嘲的な笑いがこぼれた




ああそうか、おれは・・・




「ローさん早く行きましょお」




絡み付いてくる女の腕



それを振り払い、ニイと笑う




「邪魔だ、失せろ。醜い女がおれに寄るな」




鋭く睨めば、女はビクリと奮えて最低!!と言い逃げていった




そしておれは今だに楽しそうに笑うリオのもとへまっすぐに歩きだした




"おれは、リオが欲しい"




女を自分から欲することなどなかった自分に芽生えたモノ




「このおれが恋なんてするとはな・・・」




くくっとおかしくて笑う




だが、なぜか心地好い




「覚悟しろ、リオ・・・」




おれは欲しいモノは必ず奪う





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