Jewel Honey
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「いくつか質問する。おれの問いに嘘偽りなく答えろ、いいな?」
有無を言わせない低い声に仕方なく顔を縦に振る
「まず一つ目、お前は何者だ」
訝しむような瞳、
うわあ、めっちゃ悪人面だよこの人・・・
「あー、怪しい者じゃないよ。私は、・・・多分だけどあなたと同業者だと思う」
男の眉がピクリと動いた
「テメエも海賊か・・・」
「うん、そう。やっぱりあなたも海賊なんだね」
「十分怪しいじゃねえか。どこの船のモンだ」
「フロート海賊団。・・・一応、船長やってる」
にこりと笑えば、目の前の男は驚愕の表情を浮かべた後へへっと笑った
「お前、5億ベリーの"海子"(みこ)か」
「んー、そう呼ばれてるかも」
私が肯定すると目の前の男はなるほどなと呟いた
・・・。
「・・・どうする、私を海軍に引き渡す?」
私が1番聞きたい質問、その問いは答えにくいものだと思っていたのだが、男は即答した
「いや。弱ってる女を海軍に突き出す趣味はねぇな」
それに、と続ける
「せっかく助けた命をどうしてみすみす殺すようなまねしなきゃなんねえんだよ」
ぽんと優しく頭を撫でられた
その動作が"あの人"と重なって、思わず目を落とした
「この話はここまでだ。次の質問だ、お前はなんで致命傷と呼べるほどの傷と毒を身体に負ってたんだ」
あー、私毒まで盛られてたのか。全然気づかなかった・・・
「リバールタウンってとこにいたらボルサリ・・・海軍大将黄猿たちに見つかっちゃってさ、仲間を逃がすべく囮になったんだけど、私の能力って黄猿と相性が最悪でさ・・・、崖っぷちに追い込まれちゃったからラッキーって思ってそのまま海に身を投げたんだ。毒はその前の海軍の雑魚たちの一斉攻撃によって放たれた矢の一部についてたんだと思う・・・」
「だからあんなに痛々しい風穴みてえのが空いてたのか、ばかだな・・・」
優しく頭をまた撫でられた
「女なのに傷なんてつくるんじゃねえよ」
「私は女、だけど船長だから・・・。仲間を大切な人を守るためにはなんでもする。もう二度とあんな思いを・・・したくないの」
目の前に広がる赤、守るって言ったのにあの日私は守れなかった
全部失った私に出来た新しい大切なもの
「もう二度と失うもんか・・・!!」
ギリと奥歯を噛み締める
「だったら尚更危ねえまねすんじゃねえよ」
「なんで・・・」
「心配するだろ。テメエが無理する度にテメエの仲間は心痛めてんじゃねえか?」
!!
「そう、かな。・・・ううん、そうだったとしても私は仲間に生きていて欲しい」
それが私の終わりを告げる最悪の結果だったとしても・・・
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