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エースとの思い出を語り終わると待っていたのは長い沈黙だった



甲板の手摺りに背を預け何かを考えるように目を閉じているロー、一方その隣で床に腰を下ろし体育座りをしている私



時折、ちらとローを見ても彼がこちらを見る気配はない・・・



え、もしかしてこの人寝てる?
まさか寝ちゃったの、私のシリアスな話の最中に・・・?



じっと訝しむ様に彼を見ていたらその思いが通じたのか、すっと目が開けられた



「なんだ、そんなに見て・・・?」



「あ、ううん。なんでもないの・・・」



い、言えない・・・。居眠りしてるかと思ったなんて言えるわけがない・・・



「一つ、聞いてもいいか?」



私とは目を合わせないで明後日の方を見るローに、うん。と肯定の意を告げる



何聞かれるんだろ・・・、やっぱりエースと会う前のやさぐれた私のことかな・・・・・・



「・・・、ファーストか?」



ん、んん・・・?



ファースト?



わけが分からないよと言わんばかりにこてんと首を傾げれば、ちょっと苛ついたローが私の隣にヤンキー座りをして顔を覗き込んで来た



おおう・・・、近いなこいつ



「だから、火拳屋がお前のファーストキスの相手かって聞いてるんだ・・・」



「は・・・?」



ファースト、キス・・・?



あんだけ重い話したのに一番の食いつき所がそこ?



・・・・・・、



「ぷっ・・・、っは、あはははははっ!!」



何それ何それ、めっちゃ面白いよ!!



腹を抱えて笑う私にむくれるロー



「あ、あー、ははっ、ごめんごめん・・・」



「なんで笑うんだ」



「分かんないの!?
・・・意外にさ、ローって天然なトコ結構あるよね」



あ、思い出したらまた笑いが・・・



「普通さ、もっとちがうこと言うよ。『エースはだから特別なんだなー』とか『そんなに仲良かったやつが殺されそうなんてキツいだろ』とかさー」



ははっ、と笑いながらそう言えばローはぷいと顔を背けてしまった



「仕方ないだろ・・・・・・、」



「?」



「おれの頭の中にはお前しか居ねェんだから」



っ!!


もーなんで、この人は・・・



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