2
□53
1ページ/5ページ
エースとの思い出を語り終わると待っていたのは長い沈黙だった
甲板の手摺りに背を預け何かを考えるように目を閉じているロー、一方その隣で床に腰を下ろし体育座りをしている私
時折、ちらとローを見ても彼がこちらを見る気配はない・・・
え、もしかしてこの人寝てる?
まさか寝ちゃったの、私のシリアスな話の最中に・・・?
じっと訝しむ様に彼を見ていたらその思いが通じたのか、すっと目が開けられた
「なんだ、そんなに見て・・・?」
「あ、ううん。なんでもないの・・・」
い、言えない・・・。居眠りしてるかと思ったなんて言えるわけがない・・・
「一つ、聞いてもいいか?」
私とは目を合わせないで明後日の方を見るローに、うん。と肯定の意を告げる
何聞かれるんだろ・・・、やっぱりエースと会う前のやさぐれた私のことかな・・・・・・
「・・・、ファーストか?」
ん、んん・・・?
ファースト?
わけが分からないよと言わんばかりにこてんと首を傾げれば、ちょっと苛ついたローが私の隣にヤンキー座りをして顔を覗き込んで来た
おおう・・・、近いなこいつ
「だから、火拳屋がお前のファーストキスの相手かって聞いてるんだ・・・」
「は・・・?」
ファースト、キス・・・?
あんだけ重い話したのに一番の食いつき所がそこ?
・・・・・・、
「ぷっ・・・、っは、あはははははっ!!」
何それ何それ、めっちゃ面白いよ!!
腹を抱えて笑う私にむくれるロー
「あ、あー、ははっ、ごめんごめん・・・」
「なんで笑うんだ」
「分かんないの!?
・・・意外にさ、ローって天然なトコ結構あるよね」
あ、思い出したらまた笑いが・・・
「普通さ、もっとちがうこと言うよ。『エースはだから特別なんだなー』とか『そんなに仲良かったやつが殺されそうなんてキツいだろ』とかさー」
ははっ、と笑いながらそう言えばローはぷいと顔を背けてしまった
「仕方ないだろ・・・・・・、」
「?」
「おれの頭の中にはお前しか居ねェんだから」
っ!!
もーなんで、この人は・・・
・