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目を開けると辺りはまだ薄暗い明け方



隣ですぅすぅと静かに寝息を立てるローを愛しく思いその髪を撫で、近くにあったポンチョを手に取り彼を起こさない様にそっと部屋を出た



明け方の廊下はとても寒く静かで不気味だった



吐き出す息が白い・・・



しばらく歩いて甲板のドアを開くと、太陽が顔を現しているときだった



暗闇を照らすこの光が私はとても好きだった



月の静かな光とはまた違う、力強い暖かな光はまるでアイツそのものだったから



「・・・エース、」



甲板の格子に手をつきながらそっと呟いた声は誰に届くわけでもなくまばゆい光の中に消えた



昨日の新聞に大きく書いてあった公開処刑と言う文字



その文字は私の大切な友人に向けられたもので・・・



・・・はじめて見たときは、ただただ驚いた


そんなことない、って・・・


エースが捕まるようなタマか、って・・・



そう思ったのに、平たい薄っぺらい紙の上には両手を磔(はりつ)けられたエースが居て・・・




見たくない信じたくない辛い痛い現実を、無理矢理に理解させられた



そして、どうやら想定されるのは白ひげ海賊団対海軍、・・・それと王下七武海の戦争らしい



エースの敵に、父様とドフラがいる・・・


その事実が私にとっては大きなショックだった



家族同然に大切な人達が殺し合う・・・、悲痛な戦争



「私は、何も出来ない・・・」



「リオ!」



かつて、私に他人を信じさせてくれるきっかけとなった優しい光が、私の親によって消えようとしている・・・



「リオ、愛してるぜ」



冷たい深海のような私を、・・・それでも好きだと言ってくれた暖かい光



ずっと側にいると思ってた光が・・・



「っ、私は・・・!!無力だ・・・!」



消えル・・・。



一陣の風が吹き、ぼろりとこぼれた涙をさらって行ってしまった



「っと、つめてェ。泣いてるのかリオ・・・」



静寂を裂いて現れた声にびくりと肩を揺らし、振り返れば見慣れた愛しい彼がいた



「ロー・・・。起きてたの」



私の問いに、いや。と即否定をして優しく抱きしめてくるロー



「さっき起きたら、隣に寝ていたはずのお前が甲板にいるのが見えたから」



宥めるような優しい声に、私もぎゅっと抱き着いた



「ときどき、思うんだ・・・」



「なにを・・・」



「私、こんなに幸せで良いのかなって。私ばっかり幸せになって良いのかなって・・・」



ぽろぽろとこぼれる涙がローの服に滲んで染みになっていく



申し訳ない気持ちにはなったけど、今は一人で居たくなくて・・・



「・・・火拳屋のことを、気にしてるのか」



優しく撫でられる頭



「あいつも海に生きる男だ。命を落とすのはもとより承知の上だろうよ」



「・・・。それでも、私は死んで欲しくない。
大切な人達に傷ついて欲しくない。
甘い考えだってわかってる、それでも・・・!!・・・、それでもエースは私の大切な友達なの・・・」



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