落ちてきた花嫁

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「城を抜けるとはどう言うことですか!!」




城にかえるなり、じいやにこっぴどく怒られた




「ごめんなさい・・・」




「まあまあ、花嫁さんはマリッジブルーだったんだろう。気にしないでいいよ、ボクは怒ってないさ」



馴れ馴れしく触ってくる旦那様に私は凄く鳥肌がたった




「さあ、今日は寝て。明日の式にそなえようよ、お互い・・・」




そうして去っていく旦那様




この先、ずっとあの方と一緒に暮らすのよね




そう考えたらだんだん気分が憂鬱になってきた




「姫様、実を言えばじいやもあの男は好きではございません。ですが、これは国と国との結び付きをはかるもの。ご辛抱いただきますよう・・・」




子供の頃からお世話になっているじいやにそう言われれば頷くしかない




仕方なく部屋に戻りねようとするが眠ったことのないベッドというモノでは眠れず、夜の風に当たるべくベランダにたっていた




「私はただ、みんなと一緒にいたかっただけなのに・・・」




目をつぶり、いままでの日々を思い出す




厳しい両親、優しい兄、慕ってくれる城下の人間




みんなみんな大好きだった




ある日、父と母が泣きながら今回の結婚のことを話した




「ごめんなさい、あなたを国の道具として使ってしまうような形になってしまって・・・」




謝らないで、母上・・・




「すまない。国のために・・・・、民のために・・・、嫁いでくれぬかっ!!」




泣かないで、父上・・・




「わかりました、私でよければ喜んで・・・」




笑った




心配かけないように、結婚してしまえばもう二度と会えない父と母に最後の言葉をかけた




私は、桜乃めは、あなたたちの子で幸せでした






でも、そうした覚悟をあの人は簡単に壊そうとしたあの人の言葉




『かっさらってやろうか』




あの時、仮面の方が叱らなければ危うく"はい"と頷いてしまいそうになった




顔は怖いのにとてもお優しく包容力のある人・・・




「あの人のような方と結婚したかった・・・、なんて」




叶わないのに・・・




少女の願いは風によって掻き消された




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