Jewel Honey
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暗く冷たい水槽の中、私の意識は朧げで能力を使おうにもそんな状態では使えず、死のうと舌を噛み切ろうにも力がでなくて、息をとめても電流を身体に流され痛みに口を開いてしまう
私は海軍の一つの機械だ
腕や首のチューブから血を奪われ、反対側のチューブからは訳の分からない液体が身体に流れ込む
−痛いよ、やめて、出して・・・
そう言っても誰一人助けてくれなかった
−神様助けてください
祈っても神様は私を助けようとはしなかった
−嫌い、大嫌い・・・
−ああ、でも私が悪いんだ。全部、私が・・・。私さえいなければ・・・
幾日経ったのかも分からない水槽の中でひたすら取り留めなく自分を責めていた
そんな最悪なある日のことだった
ピンクが見えたかと思うとぱりんと水槽が割れた
重力のまま私が落ちればぽすりと柔らかいものに顔が埋まった
「フッフッフッ、ずいぶん大人しいじゃねえか、リオ」
頭を優しく撫でられ、久しぶりに人の体温に触れた
・・・この声、私知ってる
この声は・・・
「・・・ど、ふ・・・っら・・・」
「怖かったか?もう大丈夫だ、おれが全て話をつけて来たからな」
「でも、わた・・・し、せいぎ・・・、の、ため・・・に」
「・・・リオ、覚えておけ。誰かの犠牲の上の正義なんて正義じゃねえんだ。お前が傷ついてるんならそりゃ悪だろ」
・・・!!
はじめてだった
私にそんなことを言ってくれる人は
「リオ、何がなんでも生きろ。お前が生きることがサフィリアへの、母への罪滅ぼしだ・・・」
・・・。
かすれゆく景色の中、私は静かに頷いた
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