Jewel Honey
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ひとしきり泣いた後、とんとんとノックの音が部屋に響いた
慌てて笑顔を作り扉を開ける
叩いた主はペンギンさんで島への上陸を薦めるものだった
正直、気分じゃなかったがペンギンさんに詮索されるとまずいので気分転換も兼ねて降りることにした
「最終的にはおれ達は此処にいるから」
そう言って渡されたのは一枚の地図
そのうちの一件の酒場に赤丸がつけられている
「ありがとう。じゃあ、行くね・・・」
地図を渡されたところで酒場に行くつもりなんてなかった、トラファルガーさんに群がる女の人も見たくないし・・・
だけど一応お礼を言って船からぴょんと飛び降りた
随分と賑わっている町のようで活気に溢れていたけど私は全くテンションが上がらず、むしろ今朝のことばかり考えてしまいどんよりと沈んでいた
私、何か酷いことをトラファルガーさんにしちゃったんだ・・・
ずきんずきんと痛む胸、トラファルガーさんに買ってもらった服の裾をぎゅうっと掴む
俯き歩いていれば、ざわざわと小声で話す声が聞こえた
「億超えのルーキーだ」
その言葉にびくんと過剰に反応した、ななめ前方に見えた見慣れたモフモフとした帽子に長剣、服にはトレードマークの海賊旗
「トラファルガーさん・・・っ!?」
トラファルガーさんのとなりには金髪の美人な女の人が手を絡め寄り添っていた
美男美女の余りにもお似合いなその光景に胸の痛みは更に増して、気づけば私はその場から走り出し町とは反対方向の暗い人気のない場所に来ていた
ずきんずきんと痛みを主張する胸に手を当て、初めての痛みに顔を歪めた
「なんの病気、これ・・・」
「やめ、やめてよっ!!!来ないで!!!!!!!」
ふと聞こえた甲高い声に頭を上げれば、路地裏に三人の屈強な男達が一人の女の人を囲んで下品な笑いを浮かべていた
はあ、と溜息をつきその場に行けば下品な笑いを浮かべた男達は一斉に私を見た
「その人嫌がってる、止めなよ」
男達とは目線さえも合わせずに女の人を見た、美人でいかにもこういうモテなそうな男が好きそうなプロポーションをしている
「なんだぁ、姉ちゃん。あんたも相手してくれんのかい」
「げへへへっ、今日は大量っ、ひぃっ!!!」
肩を掴んで来た男に嫌悪して思わず覇気を使ってしまった
目の前で倒れる男を横目に残りの男たちを睨む
「私、今機嫌が良くないの。さっさとその目障りな姿を消して・・・」
ドスの聞いた声で言えば脱兎の如く逃げ出す男たち
続いて気が抜けたのかへたり込んだ女の人
「えーっと、大丈夫?」
手を伸ばせば、電気が走ったようにぱしんとはたかれた
・・・。
「ごめん、怖がらせちゃって・・・。あんまりこういうとこ一人でふらつかないほうがいいよ。危ないから、」
じゃあ、と一礼して帰ろうとすると腕をぎゅうっと捕まれた
「待って!!違うの・・・さっきのことがちょっとフラッシュバックして、とにかくあなたが嫌だったわけじゃないの!!!」
全力で否定してくる美人さんの迫力に負け、はあと曖昧な返事を返す
「助けてくれてありがとう。凄く助かったわ。お礼と言ってはアレなんだけど私ん家でお茶でも飲んでって」
頷く暇も遠慮する暇もなく腕を捕まれずるずると引きずられて女の人の家に行くことになった
あれ、私さっき助ける必要性あったか・・・?
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