Jewel Honey
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大きな円柱状の水槽に入れられた鎖で縛られている私、その周りには偽物の海水が私を包み込んでいた
「馬鹿に大人くなっちまったなあ、リオ」
冷たい液体の中で何故か聞こえたどこか懐かしい声
私に話しかけている男は水槽に大きな手を置き、また独特の笑い方で笑った
「来る度に笑って抱き着いてきたお前がそんなんだとなんだか調子が狂うな」
瞼は重く開けることが出来ず、身体は怠くて動けない
それなのに腕についてるチューブからは絶えず私の血が流動していた
「・・・絶対、迎えに行く。今は無理だが絶対に助けてやる。・・・だから、」
"死ぬんじゃねえぞ"
「っ、まって!!」
彼の手を掴もうと伸ばした手は何も掴めずにただ空気だけを切った
まぶしいばかりの朝日が小窓から差し込み、光が私を包み込む
「あ、さ・・・?」
・・・!!??
「って、朝ぁっ!?・・・なんで、」
私寝たの、夜に?
嫌な夢見ないで?
・・・なんでなんでなんでっ!!!
あの人がいないのに夜眠れるなんてありえないのに・・・
「気絶したのかな・・・。でもそんな記憶ない。昨日はたしか・・・」
順番に思い出してみた
ごはん食べてたら敵船来てそいつら倒して、宴してロブスターさんと仲直りして、仲間になって歓迎会してもらって、・・・それで私は、私は・・・
「トラファルガーさんに泣きついたまま寝た・・・」
ヤバい、その後の記憶ない・・・
とりあえず起き上がろうと力を入れるがお腹に回されたなにかがそれを阻んだ
阻んだ原因を見るため布団の中を覗いてみれば見えたのは自分より幾分か陽に焼けた浅黒い刺繍の入った腕・・・
首に当たる微かな寝息がくすぐったくて身をよじった
「と、トラファルガーさん・・・」
とりあえず名前を呼んでみるが反応なし
「トラファルガーさんトラファルガーさんトラファルガーさんトラファルガーさん・・・、」
呪いの様に名前を紡げばくくっと言う笑い声
やっぱ起きてたかこの人・・・
「狸寝入りするのやめてよ。あと腕を離して・・・」
自由な手でペチペチと腕を叩いても少しも退こうとしないそれ
ってかむしろ締められてるかんじがする・・・
「もー・・・、まあいいや。それよりさ、私昨日気絶してないよね?」
「ああ、してねえな」
・・・じゃあ何が起きたの?
あの夢は私への罰だ、私から罪の意識が消えた訳じゃない
一生消えることない罪
ただ一つ例外をあげるとするならあの人と共に寝るときだった
あの人は笑って、
"・・・夢だァ?そんなもん怖がってんのかよ。安心しろお前が嫌がるもんは俺がぶっ壊してやる。だからガキは寝ろ"
キングサイズ以上のベッドの上で一晩中抱きしめてくれていた
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