Jewel Honey

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私は甲板の隅っこの方で一人、果実酒に口をつけてる



今さっきまで一緒に飲んでいたトラファルガーさんは船員に連れられて一番盛り上がっている船内へと強制連行された




仕方ねえと呟きつつも皆の中心にいるトラファルガーさんは確かに笑っていて、やっぱりいい船長だってことを思い知った




「いいなあ・・・」



仲間がいて・・・




「ならお前も混ざれば良いじゃねーか」



ふと背後から聞こえた声に振り向いて見ればそこには・・・



「げ・・・、ごめん視界に入ってた。すぐ退くか「待てよ!!」へ?」



私を殴った男が立っていた



約束通り視界から消えようと男を通り過ぎた瞬間に捕まれた右手首



驚いてまじまじと男を見れば複雑そうな顔をしている




「あ、えーっと。殴るのは勘弁してね?」




「殴らねえよ!!!・・・その悪かった。殴っちまったことも罵倒したことも・・・」




この通りだっと頭を下げる男



私は余りにも急な展開について行けず、ぽかんとした




「謝っても許されねえかもしれねえけ「ちょ、ちょっと待って!!今の間は怒ってるわけじゃなくてちょっと戸惑っただけだから」そ、そうか・・・」



ほっと息を着く男




「あなたのしたことは間違ってないよ。他の船の奴がいきなり来て船長の隣陣取ってたら私も不審に思うし。あなたは船長思いの良い人だね」



にこりと笑えば、なぜか泣き出す男




「ええええっ、な、なんで泣いてるの!?私が悪いの?私が悪いのか?」



男の涙なんて慣れていない私は目茶苦茶混乱した



「お前いい奴だなああっ!!」



尚も泣きつける男




「あああ、泣き止んでお願いだから!!あ、ほらこれならどう?」




ぱちんと指を鳴らし、海水の噴水を沢山つくる



茜色の空が乱反射してとてもきれいなんだけど・・・



「うおおおっ、綺麗だあああっ!!!」



って余計に泣き出したああああ!!!



何この人、アレルギーだった!?海水アレルギー?




「本当に悪かった、お前のこと勘違いしてた、おれ゙っ!!」




「い、いやだから別に気にしてないから・・・」



そんな柔な精神なんかじゃないし



「あー、もう泣き止んで、えーっと・・・名前なんて言うのかな?」




「おれは、ロブスター・・・」



ペンギンにシャチにロブスターって・・・



見事に水族館が完成しそうだ




「ならロブスターさん泣き止んで、私何にも気にしてないから」




「ぷっくくくっ、そうだぜロブスターさっさと泣き止めよ」



「このままだとリオが余計に困るぞ」




背後から登場したのは毎度お馴染みシャチさんとペンギンさん




なんとなく後ろから気配は感じていたんだけど・・・



見てたならさっさと来てよ。めっちゃ困ってたんだから・・・




恨めしげにじとっとシャチさんを見る




「それよりもこっちも用意が出来た。ロブスター、ちゃんと仲直りしたんだろう?」




用意・・・?



ペンギンさんの問いに、ああと頷くロブスターさん




「用意って何の・・・って、うわっ!!」




いきなりシャチさん(多分)に後ろから布のようなもので目を覆われて視力を失った




「な、なに、何なの本当に!!これ外してもいいの、ねえっ!!」




「わ、ちょっと暴れんなって。何にもしないなから、な?」



「女の子の目を覆う時点で何にもしてないなんて言わせない!!」




必死に足を動かす



「だからやめ、ぐはっ!!顎が、顎がわれるううっっ!!!!」




「大丈夫か、シャチ!!リオ、本当に何も怖いことはしないから落ち着け」



ペンギンさんに必死になだめられ、仕方なくぴたりと身体を止める




「いってーっ、・・・こっちだ、行くぞ!!」




シャチさんに背中を押されよく分からないまま私は甲板を後にした



空にはは私達を笑うような三日月が煌々と輝いていた





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