Jewel Honey

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こんなつもりじゃなかった



なんで私は他人の前で泣いてんだろう



あの人でもない仲間でもないこの人にどうして頼ろうとするのだろう




この人はあたたかい・・・



死の外科医なんて呼ばれてんのが嘘なくらい




「トラファルガーさん、ごめんもう大丈夫だから・・・」



これ以上甘えると取り返しがつかなくなりそうで思わず彼の胸を両手で押した




「泣いて困らせちゃってごめんなさい」



「いや、気にするな。というよりむしろ泣け」




「は・・・?」




「無理してへらへら笑ってるよりよっぽど泣いててくれたほうがいい」




頭をぽんぽんと撫でられ、そっと頬に手をそえられる




「悪かった、痛かったろ」




悲しげに私の頬に手を添えるトラファルガーさん



ペンギンさんのときとは違い拒絶反応が全くしないのは本当になんでだろう



私は首を横に振って笑った



「ぜーんぜん痛くないよ。昔から殴られたり切られたりするのは慣れてるの。親や友人と稽古してたから」




「親って言うとミホークか・・・」



青ざめるトラファルガーさん




「うん。早く父様に追いつきたいな。そうしたら認めてくれる・・・」




「なにを・・・」




「自分の子だって認めてくれるの。弱い奴に興味はまったくないのは自分の子もしかりってかんじ。父様らしいでしょ?」



ふふっと笑う



「お前はそれでいいのか」



「人間、目標があると頑張る気になれるもんだよトラファルガーくん。

それにほら、百獣の王のライオンって自分の子を谷から落とし上がってきたものだけを子として育てるでしょ。父様もそれと同じ」




「世界最強と呼ばれる親父に並ぼうとするなんてお前はやっぱ大物だよ」




だが、と続ける




「責任くらいは取らせろ。ちゃんと処置するからついて来い」



ニッとニヒルに笑い私の手を掴みあげるトラファルガーさん




不覚にもその顔にときめいたのは私だけの秘密





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