Jewel Honey

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今日の不寝番はペンギンさんとだった



殴ってきた男と一緒だったらどういう顔をしてやればよかったのか分からなかったので、ペンギンさんがマストに上ってきた時は少し安心した




「そんな薄着で大丈夫か。・・・この毛布使うか?」




ペンギンさんが差し出してきたのは自分が使っている毛布




「大丈夫だよありがとう。優しいねペンギンさんも。・・・この船は良い船ね」




優しい人間はいるし、船長は恐怖としてではなく憧れとして慕われている



それを思うと自然と笑みが零れた




「・・・悪い」



突然、ペンギンさんが謝ってきた



びっくりしてふり返ると頭を下げているペンギンさん




「ちょ、何謝ってんの」



「お前のその頬の腫れ、おれ達の仲間に殴られて出来たものだろう」



あー、なんだ。全部この人には分かってたのか



嘘ついた自分がバカみたい



「別に痛くないから大丈夫。ペンギンさんが気にすることじゃないよ」



へらっと笑う



それでもペンギンさんは心配そうに私の頬にそっと手を置いた



が、すぐにその手をふり払うように反れる私の身体



これは反射であり、本来の自分のあるべき姿である



なぜかトラファルガーさんには反応が遅れるんだけど・・・



ペンギンさんは不思議そうに私を見た




「あ、ごめんなさい。私昔から人に触れられるのがあまり好きじゃなくて勝手に身体が反応するの」




『簡単に他人を信じるな』



それがあの人の教え




「そうか。おれも悪かった、いきなり触れてしまって。まだ少し腫れていると思って手を添えさせてもらった」




「腫れてても大丈夫だよ、ペンギンさん。物理的な痛みならすぐ治る。・・・それより殴った人をもし見つけても咎めないであげて」



ペンギンさんの両目が見開かれる




「なんでだ・・・」



「彼はただ船長と船思いなだけ。すごく優秀なクルーだよ、本当に」




くすりと笑う




と同時に自分の仲間を思い出す



私の仲間は人一倍警戒心が強い



まあ過去が過去だし仕方ないんだけど




「お前は本当に珍しいな。船長に告げ口すれば殴った男になんて簡単に報復できるのに」




まあ確かにトラファルガーさんに言えば一発だろう



「だけどそんなんじゃ根本的には解決しない。それにお世話になってる人たちに手なんてあげる気にならないよ」




それに、と続ける




「怒ることなら誰でもできる。だけど許すことは難しい。だから私は許す。そうしなきゃバランスが悪いじゃない」



にへらっと笑うと、ペンギンさんもぷっと笑った




「お前は変なやつだな」



「褒め言葉。普通より変なほうがよっぽどいいわ」




夜の海に二人の笑い声が静かに響いた





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