Jewel Honey
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目が覚めると見覚えのない真っ白な天井だった
「わたし……、」
起き上がろうと身体を持ち上げようとした刹那、身体に激痛が走る
そうしてようやく寝ぼけていた頭がフル回転して、自分が命からがら海に身を投げたことを思い出した
「っ痛ぅ!!!でも、生きてたんだ、私…」
動かせる範囲で手を握ったり開いたりする
痛みは走るモノの動かせないと言う訳ではない
「ところでさ…」
キョロキョロと周りを見回す
「ここどこ…?」
揺れている感じはするから恐らく船の中だとは思うんだけど・・・
というか、完璧な処置まで施してくれてるしサービスいいなあ…
と、いきなり、パリンと何かが割れた音がした
首だけで音のした方を振り向くとそこには…
「お前、起きたんだ!!」
二足歩行の……
「熊ぁっ!?しかもしゃべって…」
そう自分の身の丈より大きな熊が皿を落としていた
「クマが話してすみません…」
しゅんとうなだれる熊
あ、可愛い…
「ご、ごめん。ちょっと驚いちゃったの…。そうだよね、熊が喋ることだってあるよね。
もしかして君が助けてくれたの?」
心の中では熊が話すことなんてまずないんだろうなあ、なんて思いつつ、なるべく優しい口調で目の前のガラスのハートを持ったクマに話かける
その問いに熊は首を振った
「おれは釣っただけ。治療したのはキャプテン」
「俺、キャプテン呼んでくるね」
と、くまは勢いよく部屋を出た
遠ざかるドスンドスンと言う音が少しだけ傷に響く
…えーっと、何だったんだろう今の熊。
クロウみたいに動物系の能力者かな?
……。クロウ達、今頃何してんのかな
…私を探してるんだろうな
無理をして海軍に捕まってないといいんだけど……
ぐるぐると混乱する頭
「よお、漸くお目覚めか?」
それを一括するような低い声にびくりと肩を震わす
振り向けば、ダルメシアン柄の帽子を被り黄色と黒の七分丈のパーカー、ズボンは帽子と同じくダルメシアン柄の男が立っていた
思わず私は、
「すっごい、隈・・・」
「……。第一声がソレか」
その声は明らかに怒っている
あ、つい本音が…
「いや、ごめんなさい。・・・えっとあなたが助けてくれたの?」
ちらっと男の顔を伺う
男はああと頷いた
・・・どこかで見たような顔。
しかし起きたばかりの頭では考えられなく、ゆっくりと近付いてくる男をポーッと眺め、ベッドの隣のイスに座るのを見ることしか出来なかった
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