Book(short)
□金魚すくい
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君は、長い髪をなびかせてオレの前を歩いてゆく。
まるで金魚みたいに。
もうすぐ、という時に、君はオレの手に穴を開けて遠ざかってゆくんだ。
あと、もう少しだったのに。
今度こそ逃がさない。絶対。
7月の下旬、エド達は夏休みに入っていた。が、エドは学校に来ていた。部活があるからだ。エドはバスケ部に所属している。バスケには興味はなく、ただ身長を伸ばしたかったからはいった。まあそれなりにバスケを楽しんでいた。
「おはよう、エド。」
背後から声がした。ウィンリィの声だ。
「……はよ。」
まだ眠いエドは短い返事しかできなかった。
「うわ、いかにも眠そうね。」
「おー、眠いよ。そーいうお前はなんで元気なんだ?」
「決まってるじゃない。部活だからよ。」
「そんなバスケ好きだった?」
「いや、そーでもないけど。」
「何なんだよ……。」