ろくでなし。

〜さえない日々〜
じりじりと鬱陶しく日が照る真夏の昼間。
僕は6畳半のボロアパートで何もせず、畳に寝転んでいた。
出かける気力も体力も場所もない。
1歩も動きたくない。
電話が鳴る。面倒くさいが出た。
「もしもし。」
「もしもし。美奈子だけど。」
美奈子は僕の元カノ。別れてからもう1年以上経つが、
今だ彼女はだらしなさすぎる僕の面倒を見てくれている、
姉のような存在。
「どうかした?」
「どうかした?じゃないわよ。まったく。
 こんな昼間に家にいるアンタがどうかしてんのよ。
 とりあえず生きてて安心した。」
「・・んー・・なんとか。生きてるっ・・・。
 美奈子は?相変わらず忙しくやってんだろ?」
「当たり前でしょ。今だって会議と会議の合間ぬって
 アンタに電話かけてんの。
 アンタもさっさとアタシより忙しい芸人になりなさいよ。
 じゃあね。」
・・・芸人・・・。
僕はこんなに冴えなくて、どうしょもない人間のくせに、
人を笑顔にする仕事をやっている。
しかし、芸歴7年。今現在TV出演回数0回。
毎月の芸人としての仕事は、営業と事務所主催のライブのみ。
なんとかアルバイトで食っている、ホントどうしょもない男。
今や化粧品会社の責任者の元カノの方が何十倍稼いでいることか。こんなじゃ美奈子にふられて当たり前だ。
美人で、スタイルも良くて、仕事もできる、カンペキな美女と
1度でも付き合えたことで、
僕は一生分の運を使い果たしてしまった気がする。

僕はこの先どうしたらいいのか。
僕には今何ができるのか。
どうすれば芸人として売れるのか。


何もかもが今、わからなくなっている、
漫才コンビ「ろくでなし。」のツッコミ、
一応芸人、小野田優だった。





 
 


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