頂き物

□ヘタレは立派な病気です
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「あ…あの!うち、ずっと前から財前君のこと、好きやったの!……で、できればうちと付き合って!!」


授業と授業の間のちょっとした休み時間。
いつものように謙也さんとおしゃべりしよ思て廊下を歩いとったら、この女子に捕まって今に至る。


けど、なぁ。俺、謙也さんっちゅーヘタレスターな恋人おるし。この告白は当然のようにお断りしようとりたんや。

けどな………。

「……あ、謙也さん」

「……っ!」

女子の後ろの方、建物の影からこっちを盗み見しとる金髪を発見。

しかも見つかったとたんに逃げ出してもた。

「え…?忍足先輩!?///」

誰かにみられとったと気付いた女子は、顔真っ赤にしながら走って行ってしもた。

「あ、ちょ…お断り……遅かったか……」

ったく。余計なことしくさって、謙也さんめ。



あとでちゃんと断ればええか…。
















それからというもの、謙也さんの俺に対する態度が急変した。

いつも休み時間とかおしゃべりしとんのに、最近全然こっちのクラスに来おへんし。


おれから行っても自慢の足で逃げてまうし…。

部活中はほとんど目あわせてくれんし……。



……むっちゃイライラする……………。


ちゅーことで、仕方なく部長に手伝ってもろて見事謙也さんを捕獲。

そんまま部室まで引きずってった。


「…で?今までの態度はなんなんすか」

「あー、いやー、えと…」


あぁもう!!今も全然こっちの顔見んし、ムカつく!

「なんなんすか、なんか後ろめたいことでもしたんすか?」

「そ、そんなんちゃう……けど……」

「じゃあなんすか、なんも言わんと分からへんやん!!ハッキリしてくださいよ!」


…っと、ついカッとなって叫んでしもた。……謙也さん完全にビビってもうたやん……。

「…すんません。ゆっくりでいいんで、……話してもらえません?」

「……分かった」

謙也さんは、やっと俺の目を見てくれた。

「光、この前告白されとった……やろ?」

「…あぁ、そういえば」

「そ、そんでな、その、光…やっぱ女子の方がええんちゃうかな…て…」

「……はぁ?なんすかそれ、そんなことで悩んどったん?」

「そんなことて!俺めっちゃ心配したんやぞ!?」


はぁ…、アホや。この人は世界一のアホや!

「俺が好きなんは、謙也さん以外あり得へんに決まっとるやん!!」

「………っ!///」


ったく……!なんちゅーハズいこと言わせんねん///


「……分かりましたか?」

「…わ、分かった。スマン光…」

「分かればええんすわ」


よし。誤解も解けたし、あとはあの女子をフるだけやな。


あの女子には悪いけど、俺には、謙也さんだけやねん。



どんなにアホで、どんなにヘタレでも、俺が好きなんは謙也さんただ1人や!!













見事誤解も解け、告白もしっかりお断りしたし。


やっといつもの謙也さんに戻ってくれた。


「ひっかるーっ!遊びに来たでー」

「なにガキっぽいことしとるんすか。ハズ…」

「ちょ、酷ない!?」

「んなことあらへん」

「えー…」


まぁ、年下に丸め込まれとるっちゅーヘタレぶりはいつも変わらへんねやけど。



「謙也さん、もうちょいビシッとしてください。だらしないっすわ」

「す…スマン…;」

「だからなんでそない弱々しいねん。ホンマに年上かアンタは」

「これでも年上っちゅー話や!!」

「じゃ、年上らしく善哉おごってください」

「なんで!?」


勝手に変な誤解して、面倒にしたバツやバツ!!

この悲しいくらいのヘタレ具合、どうにかせんとなぁ〜。

「じゃあ謙也さん、今から俺が、女子の方がええって言ったらどないします?」

「えぇっ!?……いや、ひかるが、そっちのほうがええ言うんなら…」

「……アホ。ここは、絶対に離さへん!くらい言ってもらわんと」

「あ!そか…せやな…」


……ま、これも全部俺のことを思っての行動やってこともちゃんと分かっとるんやけど……な?


俺は、そこまで甘くないねん!!

「これからビシバシ鍛えていきますんで、覚悟しといてくださいね」

「うぇえ!?か、勘弁してや、ひかるぅぅ〜;」







(じゃあまず、自分からキスできるようになってください)

(い、いきなりハードル高ない!?)

(……いや、むしろこんぐらいできてあたりまえっすわ……)

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