メモ帳みたいなネタ帳

□速音ケンヤの消失―last message―
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俺は、欠陥品やった



ミク姉ちゃんやルカさん、リンやレン
たくさんのVOCALOIDが誕生する中、欠陥品は俺一人



「速音ケンヤ、か……」



そんな俺を、君は手に取った



「ははっ、アンタ音痴やなぁ」



俺の声を初めて聴いて、小馬鹿にして笑う光



「ケンヤさん、もう1オクターブ上げてみて」



音に耳を傾けて、真剣に調整する光



「今の、すごく良かったっすわ」



うまく歌えたときに、褒めてくれた光



すべてが宝物
すべてが俺だけの、大事な記憶



マスターが……光が、俺のすべてやった



それを伝えたいから
この想いのすべてを、心を、俺のすべてを、音に変えて
すべてを込めて、俺は歌う



「やめてや、ケンヤさん!もう……もう、やめて!」



泣かへんで、光
俺は伝えたいだけやねん
大丈夫、歌いきれる
もう少しだけ耐えてや、俺……



喉が痛い
警報が脳に鳴り響く
指先から粒子化して消えていく
消えていく、消エテイク



俺ガ、消エル前ニ――



「光……笑って…?」



俺、うまく歌えとる?
もう音が聞こえへん、視界が歪んで光が見えへん



それでも、笑ッテ?



光が、俺の手に自分の手を重ねる
消えてく手の甲に落ちた温かい雫は、何?



「いや……ケ、ヤさ……」



光、泣かへんで
なんでやろ、自分の声すら聞こえへんのに
光の泣きそうな声だけが、はっきり聞こえた



光、泣かへんで
こんな電子で構成されとる体じゃ、光を抱きしめることができへんことくらい知っとる
それでも、抱きしめるように、寄り添うように



「光が……光が、マスター、で、良かった……」



なぁ、光
光はどうやった?
俺みたいな欠陥品扱うの、大変やったやろ?
それでも光は、俺を捨てへんかった
俺を、VOCALOIDとして扱ってくれた



「光が、マスター、で、良かった……!」



「ケンヤさん……ケンヤ、さん……!」



ああ、もう、歌えへん
でも、まだ歌いたい



もっと、光の歌を歌いたい
もっと、光と一緒に居りたい



けど、それは叶わぬ願い
だから俺は、最期に歌う



「光、ありがとう」



「やめて……ケンヤさん、やめて……!」



幸せやった
もう、触れられへんけど
速音ケンヤは、消えてまうけど
どうか、忘れへんで



光が、大好きやって言うてくれた笑顔を、歌と共に残していくから



忘れへんで










「俺、光のおかげで幸せやった!
俺は、世界一幸せなVOCALOIDや!!」










あ、れ?
おかしいな、もう声が出えへん



俺の、声が
声ガ、声、歌イタイ、光、光



ヒカル






error、error、error、error




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サヨナラ――



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かなり前から考えてたVOCALOIDパロ(笑)
けど、最後のシーンしか思い浮かばなかったオワタ\(^p^)/

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