メモ帳みたいなネタ帳

□あなたが隣にいないだけ
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メール受信、一通。
差出人、光。











謙也さん。
久しぶりにメールしました、まだメアド消してへんくて、ごめんなさい。
アンタは、俺のメアド、消してもうたかな。
それでもええです、このメールが最後やから。



俺ね、後悔しとるんです。



なんで、アンタと別れてもうたんやろって。



別れたのはテスト期間で、会えんくて寂しかったから。
言い訳がましいっすよね、でもホンマに寂しかった。
なのにアンタは白石部長と一緒な勉強会とか、腹が立って。
それで口から出た言葉が、「別れましょう」やったんです。



俺、この言葉を軽い気持ちで言うてもうたんです。
謙也さんは俺から離れていかへんって、そんな自信があったから。



せやけど、しばらくして謙也さんは白石部長と付き合い始めた。
最初は、薄情者、とか、どうせそんなもの、とか思うたけど。



白石部長と謙也さんが肩組んで笑うてるだけで、嫌やった。
それが嫉妬やって気付いたとき、自分が嫌いになった。
別れましょうって言うたのは俺なのに。
俺はまだ謙也さんが好きで、傍にいてほしくて、でも、謙也さんの隣におるのは白石部長で。






なんで、俺は一人なん?



謙也さん、早よ隣に来て。



嫌や、俺以外とキスとかせぇへんで。



嫌や、謙也さん、謙也さん……!







でも、白石部長に言われたんです。
覚えてます?俺と白石部長が二人きりで部室に残った日。



白石部長は着替え途中の俺を壁に押さえつけて、言うたんですよ。



「謙也と別れてくれてありがとうな」



「謙也、財前一筋やったからなぁ」



「もう別れたんやから、謙也をそういう目で見んなや」



突きつけられた現実は、あまりにも残酷で。
その後、白石部長は謙也さんと一緒に帰ってもうて。



返して、謙也さんを、俺に返して。
ああ、でも謙也さんを手放してもうたのは、俺。
いまさら、どうしようもない現実だけが、そこにあって。



こんなにも、謙也さんが好きで好きで、どうしようもなくて。



何度も泣いて、何度も後悔して、それでも足りないんです。
胸にぽっかりと空いた穴は、謙也さんがおった場所。
他の物で埋めようとしたけど、やっぱり足りないんです。



それほどに、謙也さんは俺にたくさんのものをくれたんです。











一時やったけど、愛してくれて、ありがとうございました。



最期くらい、素直にならせてください。



謙也さん、大好き。



ずっとずっと、大好き。



だから。














サヨナラ















教室の中、窓側に座ってる謙也は、そのメールを見て驚愕した。
なぜなら、彼もまだ光を愛していたから。



なんやねん、サヨナラって……!



そして、今。
ガラス窓一枚で隔てられた、宙ぶらりんの空間を。
一つの黒い物体が、地面に向かって真っ逆様に落ちていった。











そして、謙也は愛した人が地面によって頭蓋を割られる音を聴いたのだ。



*********************
なんやこれ(^_^;)
暗いのを書きたかった、でも殺す必要はないよね、わたし!?

白石さんは、恋のためならなんでもすると思うんだな(・∀・)

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