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□年下は嫌いですか?
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こんにちは、四天宝寺テニス部で部長やってる白石蔵ノ介です。
この世に生まれて十五年と五カ月。
俺は人生で二度とないであろうことに悩まされています。









「どけやワカメ頭!なんでお前がここにおんねん!」



「うるせぇなピアス野郎!邪魔すんな!」



「あ〜あ〜、二人とも落ち着けや……」



俺の左腕に絡みつくようにくっついてる切原クン。
同じく、俺の右腕に絡みつくようにくっついてる財前。
両手を年下二人に奪われ、俺は力なく笑うだけ。



「ちゅーか、切原クン」



「なんすか白石さん!」



うっ……そんなキラキラした目で見んでや切原クン。



「自分、部活は?立海かて土曜日は部活あるやろ?」



「へへっ、早めに自分のメニュー終わらせて会いに来たんすよ!!」



……それってええんか?
自分のメニューが終わったとしても、時間がある限り部活は続くはずなんやけど……。
幸村クンとか真田クンとか、めっちゃ怒っとるんとちゃうか?



「つーワケで白石さん!
 早く部活切り上げちゃって、デートしましょうよ!大阪案内してくださいっす!」



「なっ、ふざけんなや!さっきから言いたい放題しよって!」



右腕側におった財前が声を荒げて身を乗り出す。



「迷惑になっとるっていい加減分からへんのか!?
 白石部長は、今日は俺と部活の買い出しとか行くねん!!」



……財前、俺そんなこと言うたっけ?
言った覚えが記憶の片隅にもなくて、俺は首を傾げた。
それでも財前は必死な顔しとるし……多分、言うたんかな、うん……うん?うん。



切原クンはちょっとムッとした表情になって、財前と同じように身を乗り出す。



「なに、白石さん取られそうで焦ってるワケ?
 はっ、そんなんで白石さんリードしようとか無理だね」



「べ、別に焦っとらんわ!
 ただ、部長に迷惑やって言われる前に忠告してやっただけや!」



「あぁー……二人とも、おちついて――」



「「白石さん(部長)は黙っててください!!」」



「は、はい……」



あれ、なんで俺が圧されてるん?
ちゅーかなんで二人ともそんな必死やねん、怖いで。



「二人は、恋人が欲しいん?」



「まぁ、そっすね」



切原クンの言葉と同時に、財前も頷く。
俺はちょっとホッとして、じゃあ、と続ける。



「告白するんは女子にしたら、」



「「絶対に嫌です!!」」



なぁ、実は二人とも仲ええんとちゃう?
息ピッタリやん、恐ろしいほどに。



周りのレギュラーたちに助けてと視線を投げかけても、あっさりとかわされる。
前は助けてくれてたんやけど、毎週となるとな……声かけてもくれへん。



「謙也っ、どうにかしろや!」



「え、お、俺!?」



まさか自分が名前を呼ばれるとは思うてへんかったんやろな。
謙也は驚きで目を剥いとる。
困ったように頭をかき、「あー…」と歩み寄ってきた。



「光、白石も困っとるし離してやりぃや」



「ヘタレは黙っててください!」



「うっ……」



あぁ、あかん。
謙也のライフゲージはもうゼロやで。
膝抱えてしゃがみ込んでもうた謙也を、ラブルスの二人が慰める。
ぐっ、と右腕の裾が引っ張られて、見れば財前が不安そうな目で見上げとった。



「なぁ、白石部長……俺って迷惑なんすか?」



「えっ?」



「……俺、確かに白石部長のこと好きやけど、困らせるのは嫌なんですわ。
 困らせるくらいなら、潔く引いて切原のアホに譲ります……」



「財前……」



いやいや、そういう問題とちゃうねんで!?
言ってやりたかったけど、財前の泣きそうな目見とると何も言えんくなった。
切原クンも左腕にしがみ付き、同じように見上げてくる。



二人にそんな目でみられて、俺は小さく笑った。
そんで二人を腕から離し、そっと頭に手を乗せる。



「「?」」



二人ともきょとん、としとるけど、俺はそれでも二人の頭を撫でる。



「ちょっ、くすぐったいっすよ〜」



「っ、部長、どないしたんですか?」



二人ともくすぐったそうやけど、反応が違う。
切原クンはちょっと嬉しそうに、財前はちょっと身を捩って。



「……俺、モテモテやんなぁ」



照れ隠し程度に小さく笑って、そうすれば二人もちょっと笑った。



「俺な、二人とも好きって言うてくれて嬉しいねんで?
 せやから、どっちかと付き合うっちゅーのは無理なんや、ごめんな。
 ……けど、嬉しいわ。ありがとうな、切原クン、財前」



ホンマに、正直引かんでほしいんやけどな。
俺は、切原クンも財前も好きやねん。



いつも強引な切原クンと、いつも不安そうな財前。



二人とも俺を好きって言うてくれてて、それが嬉しいねん。



「せやから、三人で買い出し行こうや」



「「それは嫌です」」



はい、最初に戻った。
どないせぇっちゅーねん……。



「白石さんは俺と大阪回るんだっつーの!邪魔すんな!」



「俺と買い出し行くんや!」



今日も、二人分の愛を全身に受ける。




(赤也あああああああ
!!!)
(げぇっ、副部長!?幸村部長まで、なんでここが分かったんすか!?)
(ふふっ。赤也、覚悟はいいよね?)
(し、白石さん助けてええええ!!)
(……やっぱアイツがライバルとか信じられへん)




――――――――――――以上、赤也→蔵←光でした!
赤也初書き!すごく楽しかったです!
赤也と光は正反対で、だからこそ楽しかったです!
立海は日替わりでレギュラーが迎えに来てくれるって信じてます(笑)

未音様ー、どうでしょうかー。
書き直しはいつでも言いつけてねー!

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