――……くん。…た、くん……ば!
なんだって仙台はいつも寒いんだろう、なんて考えながら寝返りを打つ。
――……っ!あ…た…くん!
……て言うか、もしかして誰か呼んでる?
一人暮らし始めたのに?
可笑しいなぁ、なんて思いながら声に向かって抗議する。
「…ぅ〜ん……あとごふん……」
「だめ!起きてよ、新くんっ!」
抗議の言葉も虚しく無視されてしまう。
と言うより、俺の家にこんな甘いお菓子みたいな声した子居たっけ?
例えばそうだな……俺の大好きな声みた、い……………?
「っ!!?」
「きゃっ!?」
一瞬にして目が覚めた俺は、勢いよく起き上がると驚いているかなでちゃんが視界に入った。
「………あ、れ…?」
「ふふ、おはよう新くん。」
状況が上手く理解出来なくて、ぼーっとしていると天使みたいな笑顔で挨拶される。
「へ、うん……おはよう?」
釣られるように挨拶してから、今の状況を考える。
まぁ、考えた所で解んないから本人に聞こうとかなでちゃんを見た。
「驚いた?新くん。」
「そりゃあ、勿論……」
無邪気に笑ってるかなでちゃん可愛いなぁ……じゃなくて!
俺が聞きたいのは、何でかなでちゃんが家に居るのかなんだけど………なんか、もう聞かなくても良いかもしれない。
「はぁーぁ……」
「?どしたの新くん。」
「うん?なんかね、もう良くなっちゃったの。かなでちゃんが居る。……この事実だけで良いな、って。」
自分で思ってるより俺は単純なんだと思った。
だって、色々と可笑しいのに、全部が自然な気がしてきちゃったし。
「そっか……あ、あのね。わたし卒業して二年経つでしょ?だから……」
荷物持って来ちゃった。なんて無垢な笑顔で言われて、二回目のびっくり。
だって、それってさ!
「俺と一緒に暮らす……って事?」
「うん……ダメ、かな?」
少し眉を下げながらの質問に、俺はとびっきりの笑顔でかなでちゃんを抱き締める。
「ダメな訳ないじゃん!」
「ホントに?いきなり来ちゃったのに?」
まだ少しだけ不安そうなかなでちゃんから身体を離して、綺麗な瞳を見つめなから囁いた。
「大丈夫だよ?でもね、ホントは俺から言いたかったんだ。」
「え……?」
「だって俺もかなでちゃんとずっと一緒に居たかったんだから!」
最高の笑顔とたくさんの愛をきみに。
ずっとこの日を夢見てた
(毎日きみと居られるなんて、)
(これほど幸せな事ってないよね?)
(好き好き、ずっと大好き!)
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『君と過ごす夏』様に提出させて頂きました。
何年経ったってバカップルな二人希望!
10/03/25 神崎 乃愛