コルダ3pure&gag
□一緒に寝ようよ!…ね?
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ある日青年は流れ星に願い事をしていた……
「わー!夕飯の時間だ!今日は何かなあ!ご飯の為だけに生きている、楽しみだ!」
星奏学院の寮の食堂に入った青年は椅子に座ろうとした。
「あれ?椅子ってこんなに高かったっけ?」
青年は首を傾げる。
しかし、ま、いっか!とお気楽な青年は深く考えず椅子によじ登った。
椅子に座って考える。
「まずいな、これはもしや……」
ようやく自分の身に起きた非現実的な事に気付いたのであろうか?
「テーブルに届かない!ご飯が食べれない!」
………いや、もっと大変な事があるだろう?
どうやってテーブルに登ろうか……
青年が思案していると急に視界が暗くなった。
「うわっなんだ!?」
「ん……誰だ、こんな所に人形を置いたのは…」
体が浮遊する感覚。
「ひっ!火積先輩!」
摘み上げていたのは青年の学校の先輩である火積であった。
殴られる!
咄嗟に思った青年は体が硬直した。
「なんだこれ……やけに水嶋にそっくりな人形だな…」
人形……?
青年は不思議に思った。
そういえば、椅子も高かったし、テーブルに届かなかったし、火積先輩がやけにデカいし……って、オレが縮んだの!?
ようやく今の状況に気付いた青年の名は水嶋新。至誠館高校の一年生。
「本当だ。水嶋にそっくりだね。」
続いて八木沢も小さな新を覗き込んだ。
「えー!私にも見せてください!」
可愛い声を上げたのは新の想い人である星奏学院二年生の小日向かなでだった。
「ほらっ……」
火積はかなでに新を投げ渡した。
ちょっ……火積先輩!もうちょっと丁寧に扱ってくださいよ〜!お、落ちるぅ〜!
新の叫びは届かず、空中を舞う体。
しかしポンと落ちた場所はかなでの手の中だった。
「きゃあ〜!可愛い!新くんそっくりの手のひらサイズ人形!」
目の前にあるのは愛しの彼女の満面の笑顔。
新は嬉しくて声を掛けようとした。
「か………」
「しかし、たとえ人形だとしてもかなでの手のひらにライバルそっくりの人形があるのは不愉快だな。」
「せやなぁ。なんやはたき落としとうなるわ。」
神南の二人が不機嫌そうな顔で見ている。
ひぃ!ラ、ライバルって…何の?もしかして、恋の?ってか、それより落とされたら大変だ!
新は精一杯動かず人形になりきった。
「もう可愛い!ちゅーしちゃう!」
みるみる近付いてくるかなでの顔。その唇は新の唇に触れた。
わっわっ!かなでちゃんとキスしちゃったよ!
思わず顔が綻びそうになるが必死で平静を装ったた。
「ちっ何か気に食わねぇな。」
「しかし、当の本人はどこに行ったのだ?夕飯をいつも楽しみにしていただろう。」
如月兄弟が新を探して食堂を見渡した。
「まさか、これ人形じゃなくて本物だったりして。」
「響也、そんな事が現実に起こる訳ないだろう。」
「そうですね。本物だとしたら小日向さんがキスしました。……許せませんね。」
や、八木沢部長……怖い……
「ああ。そうだなかなでとキスだなんて俺が許せねぇ!」
「ぶっ飛ばす!」
ひぃ!神南の東金さんと響也さんまで!オレ、絶対動かないようにしないと……
震える体を一生懸命抑え、動かずその場をやり過ごした。