その他色々

□世界で一番君が好き
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「トウコ」
「なあに?」
「スキだよ」

にっこりトウコが好きと言った笑みを浮かべながら言う。
するとそれまで花のような笑顔を見せていたトウコが、泣きそうな顔になった。


「ありがとう、でもね、N。その言葉は本当に好きになった人にしかいっちゃいけないんだよ」


今すぐにでも泣きだしたいだろうに、トウコは健気にも微笑みながら諭すように言う。


「知ってるよ。だからトウコに言ったんだよ」
「…N、好きっていう感情にはね、同じ言葉でも沢山の好きがあるんだよ」
「……」
「私もNのこと好きだよ。でも、好きに違いがあることを知っていかなきゃね」


おしまいとでも言いたげに後ろを向くトウコ。
微かに肩が震えている。
泣かせたのは、悲しませたのはボク自身だ。
トウコの笑った顔は大好きだけど、泣いている顔は嫌だ。
胸が苦しくなる。
それにトウコが他の人と楽しそうにしているのも嫌だ。
もやもやして息苦しくって、トウコにボクだけを見てほしいって思う。
女神に聞いたらそれは『好き』だからだと教えてくれた。
だから、ボクはそのまま言葉にしたのに。
一番トウコに伝えたい言葉が、トウコを悲しませている。


「……でも、ボクはトウコが好きなんだ。どうすれば好きだって事が伝わるの?」
「N、」
「ボクはキミが笑っていると嬉しくなる。トウコの笑った顔が大好きだ。でも泣いている顔は嫌だ。すごく息苦しい」
「……」
「それにトウコにはボクだけを見ていてほしい、っていつも思っている。これは、好きってことじゃないの?」


背中しか見えないからトウコの表情は分からない。
けれど、少しでもこのぼくの気持ちが伝われば良いと思った。

「ねぇトウコ。ボクはキミがなんと言おうとトウコのことが好き」

ぎゅっと後ろからトウコを抱きしめる。
拒絶されるかと思ったけれど、トウコはされるがままだ。


「大好きなんだ。他の人間よりも、数学よりも、ポケモンたちよりも、世界でキミが一番好きだよ」
大好きなキミに伝わるまで何度でも愛を囁くよ。





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