ちょっと長い話
□第1話
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ヒュオオオオ…
ガタンゴトンガタン!
シュポシュポシュポ!
強い風が砂を巻き上げる…
そんな砂と岩しか無い砂漠の真ん中に、一台の汽車が走っていた…。
この汽車は、砂漠を横断する為だけに作られたのである。
この広大な砂漠、ウイド砂漠は、常に風が吹き荒れ、横断する商人達にとっては、常に死と隣り合わせだったのだ。
そこで開発された、砂漠でも走れる汽車、ウイド号は、砂漠によって隔たれていた国と国を繋ぎ、その国々の人と物の流れのパイプ役となったのである。
この汽車の線路は途中で2つに別れている。
1つは、そのまままっすぐ砂漠を横断する線路。
そして、分岐点から分かれたもう1つの線路は…
ウイド砂漠の中にある唯一の国、サハロ王国を経由する線路なのである。
正直、そのまま砂漠を横断する路線を使うのは貨物列車が殆どだ。
何故かというと、砂漠は余りにも広大で、汽車で横断するのに丸4日はかかるからである。
その為大体の旅人は、観光がてらで王国に寄り、食料や鋭気を養ってから砂漠を渡るのだ。
ガタンゴトン…!
3両程ある車両は旅人や観光客、商人でほぼ全て埋まっていた。
そして、向かい合っている座席の内の1つに、とても見馴れた人物が座っていたのだ…。
《第1話》