瑠璃色のダイヤモンド

□第七話 雪解け水の様に
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怜のケータイから瑠花のケータイへと電話をかける。
しばらく、電話を耳に当て無言だった怜の開いた口からは
「瑠花か?‥今すぐ来い。来たら拳で顔面パンチ、来なければ腹にパンチと蹴り3連発づつだ。」
とだけ言うと一方的に電話を切った。

それから10分後。
インターホンから音が鳴る。

怜が扉を開けると、自転車を勢いよく走らせたせいで髪型は崩れ、息も整わない瑠花が立っていた。

着ていたシャツの襟ぐりを掴んで家の中に引っ張ると、何も言わずに、本当に拳で横から思い切り殴った。

「ちょ、ちょっと…!怜が冷静になれって言ったんでしょ!?」
と、友華の声が、玄関の奥の扉から響く。
「‥お前も命拾いしたな。‥仮に私がミュウツーのままなら、今頃サイコブレイクでポケセンなどなく回復出来ない現状で瀕死状態だ。…殴られた訳はわかるか?」
「‥僕が…全部言ってしまったから、です‥よね…」
「そうだ。しかし、言ってしまったことよりも‥‥奈央をああも傷つけたことが許せない。」
「‥ご主人、様を……でも、ミュウツーさんはご主人様と…」
「確かに、そう特別仲がいいというわけではない。だが…お前と比べたらはるかに長い間、一緒に居た。お前のことが好きだから責めたり悪くいういうようなことはないだろう、そういう人だってのは私もよく知っている‥だが…誰にだって穏やかな、お前の知るところの『ご主人様』はな‥私を見て、私に「何かしてしまうのではないか」と恐れて泣いたんだ。怯えた目でこっちをみて…。お前はそれだけのことをしたんだ!後先考えないでその時の気分で何でもポンポン言ってしまったんだろう!?」
「でもそれはご主人様が知りたいというから‥!」
「ちょっと怜!言いすぎでしょ‥あと、私にもわかるように、事情を…!‥玄関と廊下じゃなんだし…こっちきてさ‥」
という友華見て、『そうだった‥』というように怜は溜息をついた。

「さっきのアイスコーヒー用意しといたけど‥瑠花は、飲む?ガムシロとミルクは…」
「苦いのは‥僕は大丈夫です…」
「うん、わかった…」
といいつつ、自転車で駆け付けた瑠花のために麦茶を入れ、何もなかったに場所に置いた。
リビングの4人用のテーブルの席に着く。
机の上の飲み物の色と、いつも座る位置だとわかっていて、誰もがすっと席に着く。
怜が座り、その前に瑠花、その隣が奈央で、その向かいで怜の隣に最後に座った友華である。
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