瑠璃色のダイヤモンド
□第一話 神様は気まぐれ
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―ドガン!!
この、現実世界のある家の中にけたたましく、痛々しい音が響いた。
「いったっ!‥着地するにできなかった…ここは…?」
辺りを見渡すと、そこは見慣れた部屋。全く変わっていない、『こちらの世界にある自分の部屋』だった。
ふと、自分の手を見れば、さっきまでの自分とは異なる、やや白い、肌色の5本指の手。
「なるほど‥また、僕はここに来たんですね…」
と、落下して、置かれた状況を把握したのは―
そう、瑠花だった。
女神が唯一、完全に幸せにはなっていない子がいるといっていたのは、奈央のルカリオであるから、よく「ルカリオのとこに行ってくる」と聞いていたミュウもその存在を知っていたわけである。
「ご主人様は‥」
擬人化したときに、波導を感じていたハチマキが明るい青の光を纏い、ひらひらと宙に棚引いた。
波導で、ご主人の居場所を探れば…少し遠いが、行き馴れた場所。
「よし、行きますよ!」
と、その前に母家の祖父母に『帰りました』と報告をし、自転車を借り、乱雑に出して、またがり、そのまま立ちこぎをした。
早く、大好きな人たちの顔が見たい…!
もう、たどり着かないと思った場所、会えないと思った人の元へと急いだ。
夏の田んぼの鮮やかな緑が、自転車の起こす風で揺れた。