瑠璃色のダイヤモンド

□第六話 運命の人
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それからは、徐々に話に花が咲いた。
友華も、課題のジャケットを取り出して、刺繍を進めながら話していた。

「‥よし、っと…あっ…どうしよう……」
「え?どうしたの?」
失敗でもしてしまったのか、と思い、奈央が尋ねた。

「実はさ‥ワンピースと、ズボンとジャケット…仮想のブランドとして同じテーマで作る課題だったんたけど……そうっか、モデルが‥いないや‥。」
「マネキンみたいなのが着るんじゃないの?」
「今回はね‥ショウとかじゃなくて、実際に町で着れる服‥リアルクローズっていうの?が、テーマだからモデルさんに着てもらって、着心地とか感想もらって、写真撮って、レポートと提出なの…」
「‥私、協力しようか…?」
「いいの…うん、そう…ごめん!迷惑かけられないよ!大丈夫、学校で探すよ!レポートだけなら提出までに間に合うし…!」

といっていたところ、玄関で鍵の開く音がした。
「あれ?怜かな?」
友華の声にハッとした。
「も‥もうこんな時間…私、帰るわ…!」
「え?まだ大丈夫だよ!」
時計は5時半を指している。
「でも‥ほら、夕飯の支度とかあるでしょ?」
「‥で、でも…」
そう、怜は奈央にとって『好きな相手の、好きな人』。
1番、今対峙したくない相手であった。
「‥やっぱり私、帰るわね。」
「え、ちょ、奈央!?」
慌てて追いかける。
「どうしたの、急に‥なんか、変だよ…?」
奈央の手を掴み、引き留めた。
「だって!一緒に居たら‥自分が!怜さんに、何かしちゃったりするかもって思うと、怖いんだもの!……」

「‥怜に?…って?‥ど、どういう、こと…?」
「そ、それは…」
「奈央がすごくツラそうなのと関係あるの…?」

「だって!わからないもの!どういう顔して怜さんに会えばいいの!?もう、瑠花の気持ち‥知ってるのに…!」

「…へ?どういう事……?」

自然と離れる手と手。

奈央は膝を落とし、ぺたりとフローリングに座り込んだ。
両手で覆う顔の隙間から、流れる涙が見える。

「友華?何かドンという音がしたが…」

帰宅後、物音に駆け付けた怜が見たのは、そんな泣き崩れる奈央の姿‥
そして、おかえりのあいさつ代わりに聞いたのは…

「何なの‥奈央?…瑠花の気持ちって?‥怜と何か関係あるの……?」

目の前に、想定していた最悪の状況が広がっていた。

「‥瑠花のヤツ…なぜ言ったんだ…」
思わず舌打ちした。

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第6話 fin


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