瑠璃色のダイヤモンド

□第三話 近くて遠い関係
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「それじゃあ。」
「お騒がせしてすみません、お邪魔しました!」
と、家の門を出て、家へと向かう奈央と瑠花に、
「はーい!またいつでも来てねー!」という、大きすぎる声がした。
5mそこいらで、叫ぶほどの距離ではないのだけど…
顔を見合わせ苦笑しつつ、後ろを振り返り、友華へと手を振った。
いつでも来て、という割にもう会えないかのような大げさなお見送りの後、静けさが訪れる。

時は夏の夕暮れ。音を立てているのは、瑠花の押している自転車のタイヤの回る音と、セミや気の早い秋の虫の鳴き声くらいだ。
「…ねぇ?」
突然の問いかけが響いた。
「な、なんですか?」
「‥どんな事、話してたの?」
「そ、それは‥今までにあったこと‥とか、ですよ!」
「そうなの…」
内容を詳しく知りたくて、聞こうか否か悩んでいた。
「あっあの!お願いがあるんですけど…!」
そんな奈央の思考を阻むように瑠花が奈央の方を見て話しかけた。
「ケータイ持ってもいいですか?その‥連絡取れないから…」
「怜さんと?」
こくんと頷き、ちらりと前を見る。
「…わかった、頼んでみるわね。連絡取る人も少ないから安いプランで大丈夫だし‥きっと大丈夫だと思うわ。」
と言うと、笑顔でお礼を言う。

奈央はここで気づいた。
『何か怜さんとの間に秘密があるんじゃないかしら』と。
この様子から推測すると、何か秘密があり、その話を2人だけでしたい、だからケータイが必要だというのではないか?と。
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