瑠璃色のダイヤモンド

□第二話 ここに来た理由
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此方の世界に来た瑠花の、1番会いたかった人は決められない。
―2人いたからだ。

尊敬し慕っている奈央と、もう一人。
親友で、別のニュアンスで慕っている、今抱きついている相手だ。

その相手は溜息をつき、面倒そうに言った。
「…やれやれ、変わってないな‥離せと言ってるだろ…」
「でも、落ち着くっていうか…懐かしい匂いで。」
「何か匂うか?‥それと…私はミュウツーではない、怜という名前の普通の人間だ。」
「それは知って…え!!?‥に、人間‥って?」
「いったん私も元の世界に帰ったのだが…いろいろ面倒なことに巻き込まれてな。転生したようなもんだが、普段はポケモンの力も何もない普通の人間になってしまったのだ。‥波導は変わっていないのか…。」
「え?じゃあ、なんてお呼びすれば…」
「名前じゃ嫌なんだろ?…別に今まで通りで構わないが、人前では『ねぇ』とかにしてくれないと困るからな、気をつけろ。」
「え、名前じゃ嫌って‥なんで…?」
瑠花の思考を遮るように、ご主人様の声がした。

「本当に仲がいいのね、うれしそうでよかった。」
と微笑む奈央に言われ、ふと気づき、男の割に華奢な体から離れた。
「いやぁ、レイも友達いないからねー、こうしてきてくれてよかったよ!」
と、へらへらと笑う友華をにらみ
「店の仲間がいるのだから別にいいだろ!」
と言った。

瑠花は、何も変わらぬ人たちと、すっかり変わった現状に戸惑いを感じた。
それに…
『知るわけがないことをなぜ知っているのか、それに少し距離を感じるのはなぜだろう?』
会ってない間の事を知らないことが距離を感じる原因だろう。
そう考えるようにした。
これから今までの話を聞いて、ゆっくり知っていけばいいんだ…そう、焦ることはないと。
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