企画物議

□一日目
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※キャラ崩壊、あとドタチンは内装業で見習いバイトという設定あり。
※出てくる地名、施設名は実在してても色々脚色しているためモデル程度と受け止めてください。
※未成年の飲酒喫煙は法律違反です…





青春と学業を営むべき場所、学校。
大多数はきちんとその責務を果たしてくれているが、時々そうでもない奴はいる。
日頃大人しいくせにその二人が啀み合うことになれば、教師達は大人しく収まるまで手を出せない。机や椅子が飛ぶのは当たり前で、防火扉や備え付けの棚、果てはグラウンドのサッカーゴールまで人の手を離れて飛んでいくのだからどうしたもんだ。
最初は疲れて動かなくなるか、学校からいなくなるか、共倒れかで沈静された喧騒だったが、数名の命知らずが酷くなる前に落ち着かせてくれたりした。そこはもう、教鞭を握る人達が出る幕はなかったのだ。

そんな問題児を抱えている中、より一層教師達を悩ませていることが目前に控えていた。青春の醍醐味、修学旅行だ。もしも出先にて喧嘩したら?あいつがキれて重要文化財でも傷付けたら?他校生とトラブルになったら?
悩みは尽きず、かといって問題児を連れていかないとなれば、公平さを尊守する保護者会や教育委員会が黙っちゃない、私立学校だからスキャンダルに取り上げられてしまうかもしれない。

まさに今年の修学旅行は一切中止だと決めかけたある日。


問題児ら4人は揃って修学旅行辞退を申し出たのだった。


「だって集団で旅行なんて嫌ですから」
「……その分ちょっと弁償に回したいんす」
「……どうしてもやりたい事があるんで、すんません」
「僕も団体行動が苦手なんですよー、のんびりと学校で自習してますから!」

その時の教師らの歓喜する様は後々語られていくことになる。
そんなこんなで青春の思い出を放棄した4人だったが、仲が良いわけじゃない。ただなんとなく一緒に居て、暴走する二人の制止役と手当役だというか。無理に仲良くするわけでもないし、かと言って挨拶もしないわけじゃなく、偶にバカ話に笑い合うぐらいだ。

そのうちの問題児一号、怪力の持ち主である静雄が、ある時に修学旅行を辞退すると言い出した事から発展した。
ある日の昼休み。まだその日は一度も暴れてない静雄と問題児二号の臨也、制止役の門田、手当役の新羅が屋上で思い思いに過ごして居た中、修学旅行の話題になって静雄がそう言い出したのだ。

「ええー?九州だよ九州、なかなかいけないから行こうよ静雄」

「…旅行の積立てがありゃこの前壊した看板を弁償できるからな。仕方ねぇよ、バイト代もおいつかねぇし」

「またシズちゃん暴れたの?プッ、大変だねぇ毎回毎度」

「元はお前も悪いだろが臨也、だけどそれ、もう弁償しなくていいって言われてなかったか?旅行は授業の一環だぞ?」

「そうなんだが、なんて言うか、せめて少しぐらい渡したくてな」

「壊す前に止められたらいいのに。それなら俺にちょーだい、あの看板、俺が弁償したんだよねー」

「無視していいぞ、静雄。だがよ、高校生の思い出といやぁ修学旅行だろ、無理してでも出席したらどうだ」

「いや、いい。旅行先で暴れただの喧嘩しただのすれば他の生徒が可哀想だ。それまでに臨也がくたばるなら出席したいと思う」

「そーだよ、臨也が休めば静雄は行けるんだよ、臨也が辞退しなよ」

「俺は最初から行く気ないよ。集団にいるのはいいけど、行動して旅行とかまじ勘弁」

「やぁそれを聞いたら僕も辞退したくなってきたよ」

「テメェが行くも行かねぇも関係ねーよ、…他校生に絡まれたら全生徒がヤバいだろ、色々」

「俺も行きたくねぇな。親方と一緒に働ける貴重な仕事がそれぐらいにあるんだよな。団体行動も苦手だしよ」

「それにさ、九州って遊園地とか巡るっけ?」

「ハウステンボスだけじゃなかったか?ジェットコースターとかないって話聞いたぞ、なぁ門田」

「ああ、確かな。団体でぞろぞろ疲れるぐらいならこの面子で遊園地いく方がまだいい」

「……ん?遊園地?」

「……最近CMでよくながれるよな、アレ」

「俺アレ、一度乗ってみたいんだよね」

「平日とか人少ないから乗り放題じゃね?」

「意外と近場って行けるようで行かないんだよね。東京から近いし」

「課外授業って大事なことだよな」

「行く?行ってみる?」

「行くか」



そして彼らは崇高なる目的を樹立した。普段の仲の悪さなど関係なく、ただ行きたいと意見が合致したのだ。

青春の修学旅行を蹴って向う目的は、富士山をも臨める魅惑の遊園地、富士Qハイランドーーーー




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