捏造長編
□14
1ﾍﾟｰｼﾞ/1ﾍﾟｰｼﾞ
14
バキュラさんが入室しました
バキュラ ネカフェからバキュラ様参上
バキュラ 何だ？ログ真っさらなんだけど
田中太郎 あ、こんばんわ、いや、今
セットン ばんわ、今ですね
田中太郎 甘楽さんが来て
田中太郎 サクッと言ってサクッと消したんですよ
バキュラ は？？甘楽？？？？え？
内緒モード 田中太郎 本人っぽいんだけど、物騒なこと言ってのけたんですよ
内緒モード 田中太郎 明日か明後日池袋で銃弾が降るとか
内緒モード バキュラ おいおい、追い詰められたからって大量殺人する気か？
内緒モード 田中太郎 まさか！
内緒モード 田中太郎 さすがにそれはないんじゃ
内緒モード バキュラ 人間追い込まれると何やらかすかわかんねぇからな、
セットン なんか、信じられない
セットン 本当に本人？
田中太郎 ログ消したあたり本人ですよ
田中太郎 犯罪予告…なんですかね
セットン いやまさか、今日日銃犯罪とかこの国で
内緒モード セットン もしかしたら、どうしても殺したい相手を殺すんじゃ
内緒モード 田中太郎 池袋に、心当たりあります、僕
内緒モード 田中太郎 甘楽さんが殺したいぐらい嫌いな人
内緒モード セットン 私も思い当たりが…
バキュラ 何だか物騒すぎて笑えないなぁ、
バキュラ 明日ぐらいに東京にちょっと行こうと思ってたのに、
田中太郎 東京くるんですか？！
バキュラ 仕事の面接なんだけどね、ついでに池袋とか行くつもりだったんだけど
田中太郎 うわ、超危なくないですか？
セットン どんなお仕事なんですか？
バキュラ ただの派遣のお仕事なんだけども、タイミング悪いなー
バキュラ それともその犯罪予告に関係してたらやだなぁ、
田中太郎 まさか！
深夜、携帯に珍しくメールが届く。
差出人はセルティ、内容は彼女がまるで喋るような口調の文章で、明日か明後日、臨也が池袋にくるかもしれない事を告げた。
そしてもしかしたら、自分を殺しに来るのではないかとも。
それを見た受信者である静雄は、何故だか笑えてきた。
散々追われて捕まった臨也が、どうにかして池袋まで戻り、長年の因縁の決着をつけようとしているらしい。それをわざわざ事前に言うことは、こちらも臨也を返り討ちにする用意をしろという事か。
池袋に来る前に消されるかもしれない男が、何を言っているのか。
横浜のどこの誰が臨也を捕らえているのかわからないが、動き出した奴らも少なくない。東京のヤクザが襲ってくるものなら、横浜の連中だって痛い目にわざわざ遭いたくもなかろう。
まさに今は臨也自身が飛び火する火種だ。しかも卑劣な爆弾を抱え込んでいるまま。
「………まさか、あいつ」
全ての裏側で糸を手繰り、高見から笑う傲慢な男。最近派手に動かず大人しくなっていたのは何かの布石だと思っていた。
専ら臨也自身が巻き込まれる事を極端に避けてきたが、時折奴が矢面になればどうなるのかと思っていた。
そして奴も、同じ様に興味を持っていたなら。
それが奴の歪んだ満足の対象になってしまったなら、小さな花火じゃ満足しない。盛大な迷惑と闘争の戦火を仕掛けて、散る。
この事態に追い込められても、奴は満足に笑っているんじゃなかろうか。
放っておけば誰かが臨也を殺す、しかしそれでは静雄の積年の恨みは昇華されない。臨也こそ長年の憎悪を晴らすために静雄を殺さねば死にきれない。
臨也が偶然と必然を織り交ぜて創ろうとしているのは、静雄と臨也が確実に相手を殺す為のステージ。
「……本気で決着をつけようという事か、臨也よぉ…」
無自覚にあった慈悲や情けを全て捨てろと何かに言われている、そんな気がした。