捏造長編
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昼どき前の池袋、行き交う人混みに埋もれない少女ら二人。
清楚な顔をくるくると、表情豊かに変えて歩く、三つ編みのロングスカートを着た少女と、
顔は全く同じなのに対象的に陰のあるホットパンツ姿の少女。
見た目や服装、性格がどこかちぐはぐしているが、見目愛くるしい二人だ、目立つ事この上ない。
しかも、あの折原臨也の妹達だ。
どこそこから視線は送られるが、まだ組関係のマークはない。警察も気にかけているが表立って彼女らに接触してはいない。
だが間も無く、彼女らも臨也について巻き込まれるだろう。
仲良く歩く双子は、買い物するでもなく、買い食いすることなく、人の姿を探しに池袋にいた。
大好きなアイドルこそ本命だが、今日は一刻も早く会いたい人がいた。
「露西亜寿司にも行ってみようよ、お腹減ったし!」
「…鮨」
ーーーあそこなら、万が一でも安心だ。
走り出してすぐに、巨漢な黒人の板前が道行く人人に声をかけているのを確認する。
「サイモンさーん!」
走りながら手を振る三つ編みの少女を見ると、サイモンと呼ばれた外人はにこやかに手を振り返す。
「マイル、クルリ、イラッシャーイ。今日モサービスネー、寿司食イネェ」
「お腹減ったから来たよ!あ、ねえねえサイモンさん、静雄さん来てる??」
「シズーオ?サッキココ通ッタヨー。シズーオモオ腹グーシテタネー」
「ほんと?!じゃあさ、もしまた通ったらあたしらが奢るから静雄さん呼んで!ねっ?!」
「マタ幽ノコトカー?イイヨイイヨー、イッバイ人呼ブネー」
「静雄さんだけだよ!」
「頼…」
まだ高校生なのに、寿司屋で年上をもてなす算段の双子は、
店内に入ればどこかほっとした顔を見合わせ、流暢な日本語に歓迎される。
まだ、大丈夫だ、大丈夫。
自分にも姉妹お互いにも言い聞かせるように、カウンターの下で固く手を握り合う。
チャットルームには誰もいません
チャットルームには誰もいません
チャットルームには誰もいません
九十九屋さんが入室しました。
九十九屋 よお、まだ逃げてるのか?
九十九屋 お前、ヤバイことになったな
九十九屋 ま、いつかはこうなるってわかってたよな?
九十九屋 今頃海外か、田舎か、それとも、海の底か…
九十九屋 ははっ
九十九屋 ああ、何でここに来たかって言うとな
九十九屋 今回の騒動の引き金、俺じゃないぜ?
九十九屋 俺ならもっと前に炙り殺ししてただろうな。おまえを
九十九屋 まぁせいぜい逃げきってくれ
九十九屋 俺は違うところから見物しているよ
九十九屋 どうお前が足掻くのか楽しみだ
九十九屋 誰がお前を追い込んだのか気になるがな
九十九屋さんが退室しました。
チャットルームには誰もいません…
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