小説

□3・手紙 (前編)
3ページ/8ページ

「なぁ、恭は元から男が好きなのか?」
我ながら、歯に絹着せぬ物言いだ。

二人の時は、下の名前で呼ぶ。
と、約束させられていたのだが「恭也」と呼ぶには何だか気恥ずかしくて、恭。と呼んでいた。

すると佐藤(名字呼び)は、

「違うよ!はるかだから、好きになったんだ。」
と、答えた。



「そうか。」

「はるか以外に、色々したいとは思わないよ。」

「……そうか」



とても聞き逃したい事を言われた気がする。

日本語なのに、聴いた事の無い言葉を耳に入れた気分だ。

誰か〜、ろ過してくれーー!

いや、ろ過したらクリアになっちまう。
泥水持ってこーい!

「あっ、」
俺は運良く?別の事を思い出した。

「明日、風紀で校門前に立つんだった〜。」

当時、俺は風紀委員をやらされていたので、たまに頭髪やら服装の乱れをチェックする為に、校門前に先生と共に立って居なければならなかった。

「明日早いのかぁ〜。」

佐藤は残念そうに言った。

「おう、悪いな!」
そう言って、帰り支度をする。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ