小説
□3・手紙 (前編)
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「なぁ、恭は元から男が好きなのか?」
我ながら、歯に絹着せぬ物言いだ。
二人の時は、下の名前で呼ぶ。
と、約束させられていたのだが「恭也」と呼ぶには何だか気恥ずかしくて、恭。と呼んでいた。
すると佐藤(名字呼び)は、
「違うよ!はるかだから、好きになったんだ。」
と、答えた。
「そうか。」
「はるか以外に、色々したいとは思わないよ。」
「……そうか」
…
とても聞き逃したい事を言われた気がする。
日本語なのに、聴いた事の無い言葉を耳に入れた気分だ。
誰か〜、ろ過してくれーー!
いや、ろ過したらクリアになっちまう。
泥水持ってこーい!
「あっ、」
俺は運良く?別の事を思い出した。
「明日、風紀で校門前に立つんだった〜。」
当時、俺は風紀委員をやらされていたので、たまに頭髪やら服装の乱れをチェックする為に、校門前に先生と共に立って居なければならなかった。
「明日早いのかぁ〜。」
佐藤は残念そうに言った。
「おう、悪いな!」
そう言って、帰り支度をする。