小説
□2・理由
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うちは、弟と俺の二人兄弟だった。
しかし、俺が高校に入る頃もう一人弟が出来た。
母親が妊娠?
いいえ。
父親が、外で作ってきた子だ。
愛人の子供です。
なぜ家で引き取る?
当時は納得出来なかったけど、今なら分かるよ。
どうやら本当の母親が育児放棄をしたらしい。
施設へ預けては、ギャンブル三昧だったとか。
しかも、俺の父親はあまり子供が好きではなく…、そんな人が一人で細々と育てられる訳も無くて、
家の母親のもとへとやって来た。
その子が家にやって来て、父親に言われた言葉。
「お前達には、もう一切期待はしていないから。もう、必要無い。」
…頭を、鈍器で殴られた様な衝撃だった。
他人から言われても嫌な言葉なのに…
唯一無二の肉親に…
父親に、言われてしまった。
父親なんて嫌いさ!何言われたって、効かねー。
そう、思ってたのに…
心底、悲しかった。
ここには、Iも無い。
高校に自分が入った頃、母親に言った事があった
「俺が高校卒業したらさ、一緒に二人で暮らさない?この家を出ようよ。」
父と弟を捨て、母親を安全な所へ連れて行こうと、本気で思っていた。