小説

□2・理由
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…なぜ、親友の告白を受けてしまったのだろう。

本気のあいつに申し訳ない気がした。


もう、申し訳ないという言葉すら使ってはいけない気がした。
なんで、断らなかったんだ俺?

合宿中の夜は部活で疲れているにも関わらず、眠れなかった。



眠れない俺は自己分析をはじめた。

…寂しがりで、素直じゃない。

臆病者かな?


そして、世間一般の感覚とはズレている…と、思う。




*****

俺の家庭は、DVがあった。

ドメスティックバイオレンス

今でこそ認知されているが当時はこんな横文字は無かった。
幼い自分は、父に怯えながら母が傷だらけになるのを見ていた。

母が泣きながら、俺の布団に潜り込み、一緒に寝た記憶もある。

そして母のストレスは、子供に回ってくる。



「あんた達がいい子にしてないと、またお母さんがお父さんに怒られるんだからねっ!」

当時の俺はショックだった。
自分の為かい?

俺達の心配をして、叱ってくれるんじゃないのか?



なぁ?

愛で叱ってくれよ…
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