〜†君がいた夏†〜

□電話
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『悠太、最近どうしたんだい?えらい元気じゃないかぁ。ニコニコしちゃって』


母ちゃんは 悠太の顔を
覗き込む



『Σなっ!!なんだよっ!!
オイラは今、勉強中なんだから あっちに行っててくれよ!Σ( ̄□ ̄;』



『へぇ〜勉強中ねぇ
そのわりには、ノートに
落書きが書いてあるようにしか見えないけどねぇ(=。=)』



『もぅ母ちゃん!!
邪魔しないでくれよぉ!!』



悠太は 母ちゃんの背中を 押して、勉強部屋から
追い出した




『あぁ〜もぅ!!!
オイラは今、勉強どころじゃないっつ〜のっ!!!』




と、そこへ



『リリリ〜ン♪リリリ〜ン♪』


電話の音が鳴り響く




悠太は 一目散に
電話のある居間へ
走って行った



『はっ!!ハイ中江です!!』

ドキドキの悠太




『あ、もしもし
○○宅配ですけど、
お母様は、いらっしゃいますか?』



『.......
はい...いますけど...少々お待ちください...』



激しく落ち込んだ声で
答えた




しばらくして


『リリリ〜ン♪リリリ〜ン♪』



『はい。中江です。』

テンション下がりの悠太





『あの、中村と言いますけど、悠太さんいらっしゃいますか?』


羽琉の声だった
わざわざ病院から
かけてくれていたのだ


『羽琉さん!?
悠太です!!』



テンション一気に上昇



『今お電話しても
大丈夫ですか?』



『もっ...もちろんです!』



『ありがとう

あの、もしよかったら
悠太さんの事
色々教えて?』



『オイラの?んー、、
自己紹介とか?』



『ええ、まだ何も知らないから...』



『そ..!そうだよね

えと、オイラは中江悠太12歳
小学六年

好きな食べ物はハンバーグで、好きな教科は理科
血液型はA型..

こんな感じでいいのかな』



『悠太さんはハンバーグがすきなのね』



『うん!!大好きっ!!』



『じゃあ、わたしも
自己紹介しなくちゃね

名前は中村羽琉13歳
中学一年生
でも、あまり学校に行けてなくて...』

好きな教科は音楽
好きな食べ物はプリン
血液型はO型よ』



『音楽好きなの?』


『ええ。私ねコーラス部に所属しているのよ』


『じゃあ、歌うまいんだね
聞いてみたいなぁ...』



『♪〜〜♪〜〜♪』



あれ?たしかこの曲...
音楽の笛のテストでやった曲.......

すごい偶然じゃん....



『羽琉さん上手だね!!』



『ありがとう.....

はぁ.....学校...
行きたいなぁ...』



羽琉の沈んだ声



『ねぇ!悠太さん!
また学校のお話とか
色々聞かせてくれる?』



何かを吹っ切るかのように、突然の言葉に
少しビックリの様子の悠太


『えっ!?あっ...うん!!
オイラの話でいいなら』



『ありがとう。

じゃあ、またお電話するわ。
先生が厳しくて
今も私の様子を
看護婦さんが監視してるのよ...

少ししかお話が出来なくてごめんなさい...
病棟に戻らなきゃ...』


『ううん..!!
ありがとう、じゃ..。』





ほんの数分しか出来ない
電話での会話


だけど悠太には
その瞬間が
待ち遠しくてしかたがなかった
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