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□EPISODE4 レクイエム[中編]
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【第二十一話】
始まり
本番の当日。にんじんとピーマンたまねぎのおかげで沢山の客が押しかけた。
気味の悪い劇場も、昨日のおれ達の頑張りのおかげで見違えるように綺麗になった。劇場を覆っているつたも全部取り去ったし、窓も新しいものに張り替えた。中でも内部の埃や蜘蛛の巣は酷かった、たかだか一年でこんなに変わるもんなんだな〜って。
こんな暢気なこと言ってる場合じゃない、か…。
ステージに置きっぱなしにしていたコートを掴んで羽織る。
本番まて後何分かのことだった。
ウソップに呼ばれてみんなが舞台裏の控室に集まり、円陣を組む。ウソップはいかにも監督らしく、一人ひとりの顔つきを見ながら叫んだ。
「お前ェら…!!!この瞬間で迎えられる本番は泣いても笑ってもこの一回きりだ!!そこで頼みがある…!悔いが残らないよう、思う存分やってくれ!!」
うぉぉぉぉぉぉ…!!!!
「絶対成功させるぞー!!!」
おぉぉぉぉぉ…!!!!
バギー一派、サーズ、ウソップ、ブルック、おれ…みんなが一つになったと本当に感じさせられる瞬間だった。こういうのをずっと待ってたんだよな…おれ。
一緒に円陣を組むサーズをちらっと見てみる。今日は客に見られるだけあって、顔を隠す布がもっと増えてる。それは気にせず、おれはサーズに笑ってやった。サーズも誇らしげに笑ってくれた。そんな気がする。
−−−
「この度は、セントラル劇場にお越しくださいましてありがとうございます…」
アルビダのアナウンスが聞こえる。おれはとっくに所定の位置について準備を済ませていた。
オズマらしく誇り高く椅子に腰掛けながらおれは誓う。
あの声は出ていけと言った…もしその声の奴がここにいたら、ごめんな…。
おれはやらなくちゃならないことがある。この瞬間でしか、償いはきっと出来ない。
ブルックの為にも…死んでいった奴らの為にも…おれは、この舞台に立つ−
ブー………
カーテンの幕が開いた。
劇は、始りを迎えた―
迎えてしまった―
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(→FF4"赤い翼”演奏)
(男が一人舞台の隅に現れ、スポットライトが当たる。男は舞台を走り抜け、下手へと駆ける)
部下1「お頭!お頭ー!!」
(第二スポットライトが当たる。オズマ、一人豪華な椅子に座り、足を組みひじ掛けに頬杖をついていかにも堂々と座っている)
オズマ「準備は出来たのか…?」
部下1「はい、完了しました。」
オズマ「……いいだろう。」
(オズマ、立ち上がって着ているコートを翻した後部下1に背を向けて進行する方向に向き直る)
オズマ「全員配置につけ!目標を攻撃する!」
部下全員「うぉぉぉ…!!!」
(舞台の袖から大勢の声。部下1は走り去る。オズマは一人残り、さりげなくステージの中央へ。自分の胸元の何かに触れる)
オズマ「…………」
(オズマ、悠然と歩いて部下の後を追う)
(→"FF4赤い翼”段々引いていく)
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