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□EPISODE1 おれはD!
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「しっしっしっし今日も大収穫だなっ…♪」
おれは今日の収穫を縄にかけ、ずりずりと引きずっていきながら鼻歌を唄っていた。
捕まえた獲物、大きな猪3頭のひづめや頭なんかが地面に当たっておれの歩いた道をこりゃもう綺麗に残している。
いや別にな、印つけたいわけじゃないんだけど;
ここはハンターの世界。
雇われた人間は言われた通りの命令をこなし、生きていく…そんな世界だ。
猪や獣ばかりが相手じゃない、
人間でさえ相手にするときもある。
もっとも、おれにはまだそんな命令が来たことがないけれど。
この先を抜ければおれ達の住み処に着く。
ほら、もう見えた…
この辺りは元々人家だった。
それがボロになって、人がいなくなったところをおれ達が住み着いて修復したってこと。
道を歩いていたら仲間の奴らがおれを尊敬の目で見てる。
こんなことが出来るのは一派の中でも数人しかいないからだ。
門をくぐればアイツが待ってる…今度はどんな顔してくれるのかなー♪
「よぉ!遅くなったな♪」
「待ってたぜ、D。いつも悪いねェ…」
おれはさっき仕留めた猪をそいつの前に置いた。
ズシーン…と地面が振動で少しだけ揺れる。
野次馬がおれとそいつと猪をじっと見る。
おれは普段の声調子で言った。
「これだけあれば今日も出来るよな?宴♪」
宴が大好きな目の前のこいつは自慢の大きな丸い赤鼻を摩りながらニヤリと笑みを浮かべる。
どうやら満足してくれているらしい。
「上等だ…野郎共!!宴の始まりだァ!!!」
うおぉぉぉ…!!!と、そこにいた野次馬克仲間達の歓声が一挙に上がる。
D万歳!Dバンザイ!!って声まで聞こえるくらいだ。
おれは赤鼻の頭領、バギーに誘われて隣りの席に座った。
そしておれとバギーの両脇にいるのは猛獣使いモージと参謀長カバジ。
更に男だらけのハンターには珍しい、紅一点の金棒のアルビダが席を揃えている。
おれを含める5人とその部下でこの一派は成り立ってるんだ。
「D!お前もこっち来て飲まねェか!!」
みんなみたいに酒はまだ飲めないけど、今日もまた、楽しい一時が始まる−
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