小説




小説置場
書き忘れたから注意しとくけど
二次創作なら何の二次創作か、オリジナル小説ならどういう小説なのかを最初に書いてもらえると助かる。

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01/08(Fri) 17:39
声を聴かせてよ
tubasa

声を聞かせてよ
 

 ずっと……ずっと好きな人がいた……。

 あたしは、ただ見ることだけ。ずっと、あなたのことが好きだった。

 毎日、毎日。寝るときも、目覚めるときも。いつでもあなたのことを考えてた。
 
 そう、いつでも。だけど、その愛は叶わない。
 
 叶えれないんだ。

 何故なら、彼は――――



「……事故?」

 突然の出来事だった。

 あたしが世界で一番好きだった人が事故に遭ったのだ。

 それを聞いた瞬間、あたしの世界が灰色になった。

 だけど、灰色になった世界をあたしは変えようと必死になった。

 何故なら、彼があたしに言ったから。

 ―――迎えに行くから―――

 そう言ったからあたしは毎日、毎日。病院に寝たきりの彼を看病し続けた。

 「今日は、りんごを剥いてあげる」

 寝たきりの彼に一人、話しかける。

 もちろん、返事はない。それでも、続ける。

 「…私、うさぎりんご作れるようになったんだよ」

 そう言ってみせると、りんごを取り出し果物ナイフで切っていく。
 
 「あ」

 りんごを切っていると手に刃が当たり、血が垂れてきた。

 「失敗しちゃったよ……」

 笑顔で答える。もちろん彼は返事をしない。寝たきり。

 「今度こそうまく作ってるからね、待っててね」

 私はそう言うと病室から出る。すると声が聞こえた。

 「前にいた205号室の男の子だけどー」

 「毎日見舞いに来て一人ごとは怖いよねー」
 
 「いないのにねぇ……」
 
 看護婦さんたちがなにやら話していた。遠くからだったからよく聞こえなかったけどあまりいい会話じゃないようだから、私は病院を出た。

 外の冷たい風が私の肌を凍らせるかのようになびく。
 
 身体が冷えてきたので、家に帰ることにした。

 …
 
 ……

 ………あたしはまた、歩き出す。 
 
 灰色の世界に興味も意味も何もない……

 だけど、彼の言葉は私のモノだから。
 
 だから、あの言葉を信じるよ。

 
 夢から覚め、私はいつもどうりに病院に向かう。

 外はいつものように寒かった。黄色いワッフルコートを身にまとい彼の病室まで出向く。
 
 もちろん、りんごと果物ナイフを持って。

 ……今度はうまくやれる!
 
 昨夜、私はうまく出来るまで徹夜したんだから……!!
 
 病院に辿り着き、205号室の病室に入る。

 「また、来たよ!!」

 元気よく入る。もちろん、返答はない。

 「今日こそ出来るようになったよっ!」

 明るく振る舞う。彼の隣にある椅子に座りバッグの中からりんごと果物ナイフを取り出す。

 「う、うぐぅ……」

 果物ナイフをりんごに向けて切っていく。

 シャ、シャ、シャ、シャ。

 りんごを切る音だけが病室に残る。

 「……ごめん、また失敗だよ……」

 指から紅い血が流れる。

 「毎日出来ないってのも変だよね……うん…」

 彼に返答はない。それでも続ける。

 「明日はうまくやってみせるから」

 一日後。

 また歩き出す。

 どんな光さえ指さない場所。

 それがここ。

 この病室。

 どんな彼方でも。

 どんな暗闇でも。

 それでも、あたしは希望を持ってここにくる。

 「今日もね……りんご持ってきたの」

 そろそろ。

 終わりがきてもいいんじゃないかな……

 あたしはあなたがいるから“いる”だから。

 今ここに。終わりをさ……

 「……ねぇ返事して、よ」
 
 同じ言葉を繰り返す。

 何度も何度も声をかける。
 
 そして、私は彼の手を掴む。
 
 そう、それで彼が目を覚ますなら
 
 あたしは死んでもいい。なんだってする。

 だから、目を覚まして……!!

 …
 
 ……

 ………手術が終わりあたしは彼を見ていた。

 「……」

 あたしの頬は涙で溢れてた。

 雨粒のような涙を。

 「さよなら」

 そう告げるとあたしは彼の”いた”ベットにうつ伏せる。

 彼は何も言わなかった。

 人形のように。

 無表情で。無垢で。無言で。

 あたしは絶望した。すべてに。この世界に。この大気に。何もかもに。

 だって、すべては偽りだったのだから。

 そんなことに気付けない。自分が創りだしたまやかし。現実を突き離すための。

 何もかも受け止めれない。受け止められなかった。

 そして、私は狂うようにいなくなった彼の病室に行く。

 それの繰り返し。そうすれば、いつの日か帰ってくると思って。

 だけど、そんな日は今日で終わり。

 今度はあたしから行くからね。待ってられないよ。

 「最初から……こうすれば……寂しい思いしなかったんじゃないかな?」

 何度も、何度も、何度も、何度も、話しかけた。

 それでも、返事はない。だったらもうすべて終わりにしよう。

 そう思うとあたしはバッグにある果物ナイフを取り出し自分の首筋へと突き付け横にスライドさせる。

 私の首筋から濁流のように血が流れ出る。あたしの顔は自分の血でまみれる。隣にある鏡であたしの顔が映る。

 その顔が面白おかしくてえた。

 とても、滑稽だった。

 ……私はただの人形。

 そう、人形なんだ。誰も彼を助けてあげれない。助けてあげれるのは私だけ。

 私がいれば彼は楽しい。
 
 私がいれば彼は気持ちがいい。

 私がいれば彼は幸せ。

 私がいれば彼は寂しくない。

 私がいれば彼は恐くない。

 私がいれば彼は弱くない。

 私がいれば彼は強い。

 私がいれば彼は迷わない。

 私がいれば……。

 ああ、そうか。こんな灰色な世界はあたしたちの居るべき場所じゃないんだ。
 
 私が早く彼の元に行ってあげないと。
 
 それで、やっと、永遠なんだ。

 …

 ……

 ………ああ。

 灰色の世界に、幸在れ。

 さよなら。

 これで私の出来ることは終わったよ。

 これで、二人。永遠だね。

 私は、最後の最後に、大粒の涙を流した。

 ごめんね。ただ、あたしは一緒に居たかっただけなんだ。

 君と一緒にこの灰色の世界に居るよりも、二人の世界でさ。

PC
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01/08(Fri) 17:40
声を聴かせてよ
tubasa





 「おかしな、話しよねぇ」
 
 誰かの声、ああ、看護婦さんの声だ。

 「喉元をナイフで切っていて、よくもまぁ、生きていたことだわ」

 「結構、深く切ってたらしいのだけれど、何故か彼女は生きてるんだものね」

 どういうこと?私は、私は灰色の世界を抜けて、彼と、彼との世界で、一緒に、一緒にっ!!
 
 私は、ゆっくりと瞳を開き、見る。

 それは、白い天井。

 そして――彼が私のそばにいた。

 ――起きたかい?

 「え?」

 ――僕だよ

 「……な、なんで」

 ――僕は、ずっと君のそばにいたんだよ

 嘘だ……彼はここには、もう……

 「…」

 ――疑っているのかい?

 「うん」

 ――それでも、僕はいたんだ。

 「……うん」
 
 でも、彼は”ここにいる”。

 ――僕は、君と生きつづけるよ。ずっと、ずっと永遠に。

 「うん……」

 ――だから、もうこんな真似はしないで……

 私は嗚咽した。嗚咽しながら、涙が頬を伝った。

 「ごめ、ひっ……くっ……ごめん……なさい……」

 彼は、彼はいたんだ。

 私のそばで、ずっと。ずっと隣にいたんだ。

 私は、間違っていた。

 間違ったことをした。

 それは、絶対に許されないこと。

 だけど、私は誓った。彼に、自分に、世界に。

 だから、もう大丈夫。

 一人になっても、一人になっても歩いていける。

 そう、そう信じていけるんだ。

 彼のおかげで。

 私を、私の命を救ってくれた彼のおかげで――

 ――僕は君の隣でずっといるから、だから、

 「うん、ありがとう……私はもう、迷わない。一人でだって、歩いていける…」

 「だから……さよなら」
 
 ――ああ、わかったよ。

 私は、ベットから降り、病室を出た。

 屋上への階段を上り、屋上へ出る。

 広く澄み切った青い空。

 私はそこで、彼を、見送った。

  END
 

PC
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01/08(Fri) 17:43
あとがき
tubasa

あとがき

ふぅ〜、疲れました。
この短編は俺の小説で一番人気があった作品です。
それを、掘り出し書き直して、ここ本部に提出しました。
どうでしょうか?
俺的にはいい出来だと思います。

ちなみに、これ書いたのは中一の夏ごろだった気がします。

それでは、コメントくれると大変うれしいです。

PC
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