Crimson Hearts

□Retrace:V
2ページ/12ページ




「先日の事件での母君の事は残念でした」

「‥‥そのことはもういいの。」

「ホゥ‥‥?」

「それより‥‥何故、私を保護したの?」


母さんのことはやっぱりショックだけど『私』にとっては実の母じゃないんだから‥‥

アクスには悪いけど‥‥そう。
今はこの男から情報聞き出す方が先決だ



ブレイクはアメを口に含むと容赦なく砕き始めた
ガリガリとアメが砕ける音が高圧的なものに感じてしまう

‥‥いけないな。
こんな事で怖じ気付いていては

頭(カブリ)を振り再び彼を見据える


「せっかちですネェ〜
簡単に理由を言えば君に興味が湧いんですヨ」

「‥‥私に?」

彼の言葉に盛大に眉を顰めてしまった

「そう睨まないでくださいよー?
知りたいんでしょう?チェインの事や我々のコト」

コクンとしっかりと明確に頷いてみせる


知りたい。

どんなことでも

些細なことでも


「君に教えてあげますよ。
そのかわり‥‥君には色々と此方に協力していただきます」

「私なんかが貴方の力になれるワケ?」

「ええ、それはもう
ひとつ足りない駒に最適ですんで
それに、これからわかる君の真実が更に利用価値をあげてくれるかもしれませんヨ?」

にっこりと穏やかに微笑んで見せているも、駒と言い切ってしまっているあたり
利用出来る限り利用されるんだろう


「協力ということは私も貴方を利用しても構わないって事だね」

「モチロンですよ〜V」


―――・・話に乗るかは君次第だ



沈黙が静かに告げていた


「わかった
私の名前はアクス=サブリエル。
よろしくね‥‥ザークシーズ=ブレイク」

「話がわかるヒトで助かります」

彼はにこりと笑うとこちらへ歩み寄ってきた

「では早速‥‥お聞きしたいことがありましてネェ」

「‥‥‥?
私が今知っていることで貴方の役にたちそうな事は無いけれど」

「イイエ。私が知りたいのは君の境遇だ」

「‥‥‥!」

「戸籍を持たずして隠れるようにあの町で暮らし、縋り付くほどアヴィスについて知りたがっている
君の身に何か特殊なことが起こっていた‥‥違うかい?」

「‥‥‥」

彼は私が寝かされていたベッドへとゆっくりと腰掛けた
私の頬に手を滑らせ息がかかる程の至近距離で紅い隻眼の瞳にジッと見つめられる


普通なら悲鳴を上げて引っ叩きたくなる行為だが、その動作に厭らしさは一つもなく


ただ‥‥気圧される





「‥‥わかった」


観念したとばかりに無意識に止めてしまっていた息を吐き降参の意を示した

「話すよ‥‥何れは話さなければいけない事だろうし」

「おや、思ったより早く折れましたね」


意外そうな顔と口振りの飄々とした態度の彼に対し、私は目を閉じ

自らの頭の中を整理するようにゆっくり私の中にある変異を語り始めた




次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ